世の中に「万能薬」があれば。
皆さんは「病気」についてどうお考えになられていますか?
病気は・・
なってから治すもの?
ならない様に予防するもの?
もちろんどちらが正解、というものではありません。
人にはそれぞれの考え方があります。
ただ毎日寄せられる皆様からのご相談を伺っていると、多くの方が「もうちょっと摂生しておけばよかった」とおっしゃいます。「後悔先に立たずだね」とも。このようにおっしゃる方に「そりゃあその通りだよ、不摂生する方が悪い!」と大きな声で皆さんは言えますか?
私はこれは決して攻めることはできないと思います。
人は元来非常に弱いものです。群れとなって集まり、コミュニティを形成し、その中で様々な役割分担をすることでようやく生きていけるほど弱い生き物です。
武器を持っているから強い?そうではありません。弱いから他の動物に負けないように知恵を出して対抗手段を練って地球上でここまでの力を持つ生き物になったのです。
人は自分の周りの人間の影響を受けながら自分という存在を得ることができる生き物です。
簡単に言えば「おとなりさんに合わせる」生き物ですね。
ですから政治家や官僚が腐敗しきって没落中とはいえまだまだ世界レベルでは豊かである我が日本。周りを見回してみてもその日の食事に困る、という方よりは当たり前のように食べて当たり前のように飲んでいる方のほうが圧倒的に多いのが現状です。
一人だけ食べるものを摂生して質素な生活をしよう、という気持ちになりづらいですよね。
しかし考えてみてください。
人間は次から次へと生まれてくる病気に対抗するためにそのたびに対策を講じ、一つの病を克服してきました。しかしそうするともう次の新しい病気が生まれ我々に襲いかかる。
人の歴史とは病との戦いの歴史でもあるのです。
しかし近年現れる病気の中でも「生活習慣病」というものは抗生剤への耐性を持ち、強度を増すウイルスとはちょっと異なり、人間の生活リズムの乱れから発症した病気です。
つまりこれは明らかに人為的に引き起こされた病であり、自らの豊かさと引き換えに生まれた病であることをまず認識しなくてはいけません。
生活習慣病と一言で言っても肥満、糖尿病、花粉をはじめとするアレルギー疾患、増加するガンなどなど様々でその種類も罹っている人数も増加の一途を辿っています。
豊かさの代償として生み出されたこのような病気に対してその代償を行いながら薬だけで治そうというのはちょっと都合が良すぎます。一升瓶片手にスルメを焼きながら「あーお酒止めたい」と言っているのと同じです。
一番の薬はまずその代償となるものを見直さなければいけません。
ちょっと変な話ですが、最近1時過ぎに就寝していた生活を11時に就寝するようにスライドしてみたところもともと快調だった食欲や便通がさらにワンランク向上しました。(詳細な描写は避けますが個人的に「便の進化」と勝手に名づけて喜んでいます)
このように本当にささいなことで生活のリズムというものは整い、また崩れるのでしょう。
ですから自らの不摂生が招いた病に対して『世の中に「万能薬」があれば』という発想では病気に立ち向かうことはできませんしそもそも残念ながら世の中に万能薬など存在しません。
だからこそ我々は病に対して努力し続けていますし、先人の残した素晴らしい知識を長い年月が経った今でもありがたく用いているのです。
在りもしないしない万能薬に幻想を抱くのではなく、どうすれば病に打ち勝つことができるのか、そもそもそういった病に罹ることなく過ごせるのか、と考える努力こそが必要です。そういう努力を捨て去ってしまった時に人間の医療というものは崩壊してしまうのでしょう。
次々と生み出されるウイルスとそれに対する抗生物質などの対抗薬の永遠に続くであろうイタチごっこ。
私はちょっとこれとは違う道で皆様のお役に立ちたいと考えています。
万能薬にはなれなくてもせめて皆様の「救急箱」でいられるよう、日々精進しております。
ですが「最近太ったみたい」と新宿の伊勢丹でぼやく私の妻を見ながら即座に頭の中で痩せるための万能薬を模索している私はまだまだ修行が足りませんね。


