「ピルの害」について
2012年3月29日 11:25ピルの害について
FSHというのは脳の下垂体より分泌される卵巣刺激ホルモンとよばれるものです。
このFSHの刺激によって卵胞が育ち、エストロゲンも増えてくるわけです。卵巣機能が低下した場合、卵胞の育ちが悪く、エストロゲンが不足してしまうと下垂体は卵巣へより強く刺激を与えるためにこのFSHがどんどんと分泌されます。
しかし、卵巣に力がない状態ではFSHがいくら増えても卵胞は育ちませんし、この持続的な刺激によって卵巣はかえって疲れてしまいます。こうして卵巣機能の低下→FSHの上昇→結果として卵巣がさらに疲労 という悪循環に陥ってしまうわけです。
こうした場合に西洋医学では一般的にこのFSHを下げるためにピル(簡単にいえばエストロゲンを含有しているのでFSHが分泌されなくなる)を用います。
確かに悪循環の輪は途切れるかもしれませんが、FSHが分泌されなければ卵胞は育たず、自分自身の力でエストロゲンを分泌させる能力を結果として下げてしまう、すなわち「妊娠力の低下」を招いてしまうわけです。
現在、本当に多くの女性が生理痛や生理不順の改善目的(と称されて)低容量ピルなどを頻用しておられますが、漢方の見地からするとこれは将来的な妊娠を考えれば大NGとなります。
生理痛や生理不順はなぜ起こっているのか?そしてなぜ卵巣の機能が低下しているのか?こうした原因治療を完全に放置してしまうことになるのが西洋医学の最大の欠点であり、その場しのぎの対症療法が後に大きな禍根を残すことになる例を数え切れないほど見てきました。
漢方は確かに数分~数十分で効果を実感できる西洋薬と比較すれば時間がかかるように感じるかもしれませんが、原因治療に時間がかかるのは考えてみれば当たり前のことです。症状を治すためには漢方薬を用いた体質の再構築が何よりも効果的と考えます。
例えば、卵巣機能の改善には漢方では「補腎(ほじん)」という考え方が重要になります。卵巣機能の低下は「腎虚(じんきょ)」と呼ばれる病態として捉えられ、これを改善させる「補腎薬(ほじんやく)」を適正に用いることで卵巣の機能はほぼ確実に改善します(これは病院での検査でもわかります)。
また、卵巣の働きを阻害する原因として「心身の疲労」があるのであれば「寧心安神(ねいしんあんじん=リラックスしたストレスのない精神状況)」のコンセプトから身体をしっかりと休ませ、回復を図るための安神薬なども結果として卵巣の働きをアップさせるのに有効です。
このように漢方を用いることで身体の状況を良い循環の輪に組み込んでいくことができます。
「あちらが多いからこちらを減らす」という乱暴なやり方では必ず新たなひずみが生じてしまいます。
まずは健やかな体をつくることが結果として健康な妊娠、出産への一番の近道であることをどうぞご理解下さいませ。