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ADHD、アスペルガー症候群の疑いを持つ前に

2013年11月28日 15:23

先日のコラムで「ADHD」や「アスペルガー症候群」についての記事を書かせていただいたところ、わずか数日のうちにお子様が同疾患、あるいは疾患疑いで悩んでおられる親御様からの相談がたくさん寄せられました。

本日ご相談にみえたのは8歳の男の子。
授業中に席を立ったり声をあげたり時に衝動的に暴力的な行動に出たりということで学校側や他の親御様からのクレームを毎日のように受けて一緒にみえたお母様も精神的にかなりお疲れのご様子。

しかし男の子とお話してみればきちんと話は通じるし私の説明や質問にもしっかりとお答えできる大変良いお子さんでした。

同じようにご相談に見えるお子さんにはこうした「何の問題も無いお子さん」が多く見られます。

ではなぜそうした問題を起こしてしまうのか?

学校側や他の親御様からのクレームには起こった「事実」のみしかありません。きちんと状況を理解できる能力のある子がなぜそんな事を繰り返すのか、その「なぜ」をきちんと考える前に「素行のおかしい子」、「協調性の無い子」などといったレッテルを貼っているケースは決して少なくありません。

今日いらしたお子さんは「先生が自分だけを怒る」と話してくれました。また、自分だけが悪いかのようにまくしたてる女の子に対して衝動的に暴力を振るってしまった事も。

これは果たしてこのお子さんだけが悪いのでしょうか?そしてこのお子さんは本当に「ADHD」なのでしょうか?

私の答えは明確に「No」です。

詳しく話を聞けば担任の先生は若い女性で他の親御様からも「感情の全く入っていない授業、子供への対応」が問題視されているといいます。

私が小学生の時には運良く本当に素晴らしい先生方に恵まれ、時には怒られることもありましたが、理不尽な怒りを個人に向けるような方は一人もおられませんでした。もちろん先生方の事を尊敬しておりましたし、一人の人間として敬愛していました。

しかし現在、なんと小学校での学級崩壊が各地で問題とされているというのは「怒る事のできない教師」「子供を差別し、顔色をうかがう教師」もまた問題になっているということが事実としてあります。ただ、これも教師だけが悪いのではなく、理不尽な要求を突きつけ、学校側に抗議を繰り返すいわゆる「モンスターペアレンツ」の影響もまた少なからずあると思います。

今日、ご相談に来られたお子様の先生は以前にも教育に悩み、真面目さ故に精神を病んでしまい、2年ほど学校を離れていた経緯があるそうです。

教師の目線からすれば「いくら言っても言う事を聞かない子供達と意思を通わせる事はできない、怒れば親からの突き上げが来る。怖い」となっていれば心の入った教育ができなくなってしまうのは道理であり、同情する気持ちになります。

ただし、それでは教育者としては勤まりませんし、結果としてある特定の怒りやすい子供だけに歪んだ怒りをぶつける事で今回の用に「自分だけを怒る」という大きなストレスを抱えた子供を生み出す事になってしまいます。

「教師の言う事は常に正しく、きちんと言うことを聞くのが当たり前」というのはもう遥か昔のことのようになってしまっているのだとしたらこれからもこうした悪循環は各地で続いて行くのでしょう。

例えば今日のお悩みに対して漢方でできる事はいくつもあります。子供の小さな心に溜めてしまうストレスを上手にはらす漢方、衝動的に怒りが爆発してしまうような精神状況をリラックスさせ、きちんと制御できるように心を強くするような漢方薬などがそうですが、何よりも必要なのはその子をすぐに異常だ!と騒ぎ立てるのではなく、まずは子供は子供なりにきちんと原因があって奇行を行ったり、反発しているのだとしっかりとその子を理解する事ではないかと思います。

今日のご相談は2時間に及びましたが、そうした理解が親御様とお子様、そして私の間にできたのではないかと思っています。

漢方薬と共にこうした時間が問題の解決につながっていくであろうと私は考えておりますのでお悩みの方はいつでもご相談くださいませ。
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