ペットのターミナルケア(終末医療)について
2008年2月27日 17:43ペットのターミナルケア(終末期医療)
ペット用漢方を始めて随分と経ちますが毎日本当に色々なご相談をいただいております。
最近そういった中で常に感じるのがターミナルケア、いわゆる「終末期医療」と言われる治療について、それをケアする獣医師をはじめとする方達とご家族の方との温度差です。
実はもともとこのペット漢方をはじめるきっかけになったのが懇意にしていただいているお客様の飼っておられたワンちゃんが重度の肺がんで明日をもしれぬ状態になっていることをお聞きし、その時にかかった獣医師に「もう手の施しようがないから治療してもお金の無駄です。諦めて下さい」と言われたの、と嘆かれていたことにあります。
ドクターの立場から言えば過剰な期待をかけたりするのが逆に酷であろうとか情を交えてはいけないとか色々と事情もあるのでしょうがあまりにも感情のない事務的な処置とコメントで飼い主とそのペットを突き放す行為に純粋に憤りを感じました。
しかしペット漢方を始めてからそういった飼い主様の怒りや悲しみ、嘆きの声を聞かない日はないのではないかと思うほど、そういった事例のなんと多いことか。
頭のどこかに「人間じゃないから」と思っているとしか思えないような内容ばかり。正直こういった現状に今でも驚きを隠せません。
もちろん終末期医療は非常に難しく、それこそもう手の施しようのない状態であることが当たり前の中での医療です。しかしだからといって死んでしまうことを前提にしてしまっていいわけはありません。
青臭いとか医療を知る専門家としてのコメントではないとか批判を受けたこともありますがでは一体何のために我々のような人間がいるのか?ただ事務的に死への案内をこなすだけの治療を行うことはどうしてもできません。
手を尽くしても救えない命がたくさんあることは事実ですし医療が万能であることはこれから先もないのでしょう。ただ1秒でも長く元気なペットと一緒にいたいという飼い主さんと生きたいと感じているペットのためにできることが少しでもあるのなら突き放すのではなく取り組むことが大事だと思います。
最終的にペットが辿るものが同じ結果になってしまったとしても、たとえそれが自己満足であったとしても私はそうあるべきだと思いますしそのスタンスを変えるつもりはありません。
もちろんやみくもに希望を与えるような言い方が酷になることも多々ありますので状況の認識だけはしっかりと行い、経過についてもできるだけ冷静に分析してお話させていただいております。
苦しさを増すような延命についてはきちんと飼い主様に説明させていただき、お断りすることもあります。
これを書いている今日も回復の見込みがないと見放され、「もって1年ですから副作用のこととかを考えなくてもいいですよ」と言われた飼い主様からご相談をいただきました。
素晴らしい獣医師の方がたくさんおられる一方でなぜこう言った心無いコメントを平気で言える方がいらっしゃるのか。医療とは一体何のためにあるのか。
私は獣医師ではありませんし外科的な治療を行うことも許されてはおりません。
しかし私には私にしかできない治療があると信じておりますし、お困りの方のお話を一件でも多く伺いたいと思っております。その中に1つでも救うことができる命がきっとあるはずです。
どうぞ諦めたくない、と思われる飼い主の方がおられれば一度ご相談下さい。微力かもしれませんが誠心誠意努めさせていただきます。まずお話を聞かせていただきたいと思っております。