関係者以外には「どうでもいい」、「ムダに楽しそう」、「健康ブログを更新して」などと大好評のこのワインツーリズム。

さらには関係者(参加者)からも「悪意がある」「こんなにひどい扱いするな」などクレームをいただきましたが書かなければ書かないで「何で書かないんだ早く続きを書け」と言う八方塞がりな気分を全開にしてカタカタとキーボードを叩いております。

さて、前編でようやく合流を果たした我々ですが、合流場所である勝沼のワイン農家さんの軒下に我が物顔で腰をすえているメンバーを一瞥した後にとりあえずワイン農家の方々に謝罪の言葉を告げます。

「いえいえ、とんでもない、美味しい美味しいって言ってくれてワインも食べ物も気持ちよく食べてくれてるんですよ＾＾」と屈託のない笑顔でお言葉を返してくださるワイン農家の皆さん。ありがたい言葉をいただけばいただくほど胸が苦しくなるのはなぜでしょうか。

「杉さんも食べて食べて」
「これ凄く美味しいよ」
「ほらほらボーっとしてないで座って座って」

と私に色々と指示を出してくるメンバー。うん、ありがとうみんな。でもそれってワイン農家の方のセリフだよね。

差し出されるおにしめや漬物、巨峰のジャムなどどれもこれも素晴らしく美味しいものばかり。思わず顔がほころんでしまうほどの美味ですがそれ以上に我々を不思議そうに身ながら目の前を通り過ぎていくワインツーリズムの参加者達の視線が気になります。ごめんなさいごめんなさい。独占してるんじゃないんです！こいつらが！こいつらが悪いんです！

我々がどのくらいなじんでいたかというと、ワイン農家さんのホームページにぜひ我々の写真を載せたいというお言葉を受け、何枚か写真を撮っていただいただばかりか挙句の果てには地元の新聞社の方に取材を受けました。(山梨農業新聞の皆様、ご迷惑をおかけいたしました)

結局取材を受けつつ賞味１時間近く滞在したでしょうか。ようやく「じゃあそろそろいきますか！」という声で皆、腰を上げます。ちなみにこの時点でテーブルの上は壊滅状態。

「またきてね！」と人がよいにもほどがありますよとたしなめたくなるほどの素敵な笑顔のまま我々を送り出してくれるワイン農家の皆様を背に、いよいよというかようやく私のワインツーリズムが始まりました。

前年に参加している坂城山(仮名)さんの経験とカンを頼りに美味しいとされるワインセラーを巡ることになりました。

地図を広げああでもないこうでもないと意見を交わすメンバー

ちなみにおそらくこの時点で私以外のメンバーの胃袋にはワイン１本分程度のワインが入っております。

「よし！ここにしよう！」

と、ようやく行程も決まり、広大な勝沼の地を歩くこと３０分・・
最初のワインセラーである「山梨ワイン」にたどり着きました。

少々薄暗いワインセラーの中に足を踏み入れるとあるわあるわ・・何十本と言う試飲用のワインがずらっとテーブルの上に並べられています。おや・・？なぜかワインセラーの方の姿が見当たりません。

白、赤、ロゼ、極甘口から辛口まで様々なワインがあります。

私が勝手に試飲してもいいのかと迷っている間にメンバーは思い思いのワインに手を伸ばし、目にもとまらぬ速さで試飲を始めます。インパラに襲い掛かるハイエナを想像してください。

メンバーが数本目の試飲を始めた頃、外からドタドタという音とともに１０人程度の男女が部屋の中へと入ってきました。

先頭にいた初老の男性が中でワインをすすっている我々を見て「さあ、では参りましょうか」と語りかけてきます。

不法侵入と無銭飲食で警察に連行でしょうかと聞き返しそうになりましたがどうやらワイン工房を見学させてくれるようです。これは嬉しい！

ワインセラーの地下にあるワイン貯蔵庫やワイン樽、ワインの製法、発酵方法などを事細かに教えていただきました。こういう説明を聞きますとより一層ワインが美味しく感じます。

ここの山梨ワインさんで個人的に３本ほどワインを購入しましたが、まだまだツアーは続きます。

そして・・・・事件は起こりました。

この山梨ワインさんの後にお邪魔しましたワインセラーを出た道上でのことです。

「もし・・おまえさんがた」

我々を呼び止める声に振り向くとそこには高齢の男性がニカッと微笑んでいました。

(後編へ続く)