ある夜の攻防
2011年1月27日 13:59(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記
今日は皆さんに血も凍るような恐ろしいお話をしたいと思います。
あれはそう・・・去年の年末のことです。
妻と子が祖母に会うため、実家に帰っていた日がありまして。
にぎやかな妻と娘がいないというのは大変に寂しいのですが、たまには独身気分を味わおうかな、と一人分の夕食を作り、ゆっくりと食べて軽くお酒などを飲んでおりました。
食後にテレビなどをぼんやり見ておりました時に、そうだ、どうせなら普段はできないことをしよう、と随分前から読み途中だった推理小説を引っ張り出してきて読み始めました。
ただ、推理小説、と言っても「怪奇推理小説」の類で、見たこともないような化け物が孤島に住む村人を猟奇的に惨殺しまくるという作者に過度のストレスが溜まっていたとしか思えない内容なのですが、いつもの自分ならなんでもない内容とはいえ、とにかくグロテスクな描写が100ページ近くも続くと言う物凄い小説、一人きりでなんの物音もないうすら寒い部屋で読んでいるとやはり何と言うか不気味な気分になってきます。
と、その時です。
「・・・・が・・・・るから・・・・・なん・・・・・・じゃあ・・・・・・・・」
!!!!!!!!!!?!?
びくっ!と読んでいた本を取り落としました。私以外には誰もいないはずの家の玄関の方から耳慣れない話声のようなものがしました。
な・・・なんだ?なんだ・・・?
おそるおそる本を置き、立ち上がるとおっかなびっくりリビングと廊下をつないでいるドアを開きます。
・・・・廊下には娘が大事にしている人形、「メルちゃん」がポツンと置かれていました。見ようによっては何とも不気味な光景ではあります。とりあえずメルちゃんを拾いあげます。
で、でもメルちゃんはもちろん動かないし・・・ましてや喋るわけも・・・
「・・・・から・・・・るっ・・・・・・・けで・・・・・」
「ひいいいいいいいいいっ!」
思わずメルちゃんを壁めがけて投げつけてしまいました。
ガン!と鈍い音を立ててうつぶせの姿勢のまま動かなくなります。
あ、明らかに誰かがこの家の中にいます!
そ、それも凄く近くです・・・・先ほどよりも声が近い・・・・!!!
「だ、誰だっ!」
さっきまで読んでいた推理小説で、同じことを言った駐在さんが次の瞬間物凄い勢いでミンチにされています。
言ってもボクシングをたしなみそこいらの33歳よりは戦闘能力に秀でている自信があります私ではありますが、何でしょうこの巻き起こる尿意は。膀胱が「準備万端」と言っているようにも思えます何の準備?
一人、深夜のマイホームでボクシングスタイルで「でてこい!卑怯だぞ!」と叫ぶ私はどこからみても色んな意味で危険人物です。
「・・・・・ぁ・・・・ける・・・・・くね・・・・・・・・ぢょ」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ」
ドタン!ゴロゴロゴロゴロゴロ
臓物をひきさかれて化け物に喰われた村人の描写が瞬間的に脳裏に浮かび、見えない何かから身を守るため、もんどりうって廊下に転がります。
も、もう駄目かもしれない。
妻よ、子よ、お父さんはおまえたちのことを誰よりも愛しているよ。見たことない化け物に臓物引き裂かれてミンチにされても星になってもお前たちのことを空から見守っているからね!
「・・・・・る・・・・・・ら・・・・・・・・ねし・・・・」
「ただでは殺されねえぞおおおおおおうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
もう死を覚悟したテンションで声のする方へ向って身体をぶつけるようにジャンプします。
ドタン!バタン!
音のした方にあったドアを弾き飛ばし寝室へ。
『と、いうわけで今夜のオールナイトニッポン!ただいまスタートです!』
私のipod nanoからラジオの音声が漏れていました。
穴があったら星になりたい。
一足先にメルちゃんが星になりましたよ。
穴があっても入るよりも星になりたいあたり、相当な覚悟だったのですね。
Posted by: ちび黒たまご
星になって娘を守りたいくらい恥ずかしい思いをしました。
Posted by: タクヤ先生