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(笑)は悪である

2012年11月10日 10:20

 以前に私の駄文を私の親族一同が読んでいることを知り、軽くそこらへんにある穴に入りたくなった、という話をした記憶があるのだが、つい先日、ついに娘の通う保育園のママさんから「ブログ拝見しました クスッとしちゃいました」という衝撃の発言が飛び出した。

その時は動揺して「あ、ありがとうございます。嬉しいです」と御礼を述べたものの、帰ってきてふと考えると「クスッとした」という表現はかなり微妙ではないかと思い始めた。

本当に面白いものであれば「最高でした」「笑いが止まりませんでした」「プッククククッ、あ、すいません思い出し笑い!プヒーーッ!」などという言葉が出てくるはずである。これを考えるとここで言われた「クスッと」という表現は「ブログ拝見しました (まあお付き合い程度に)クスッとしちゃいました」という( )内の文字が行間に隠されているのではないか!ああそうだ、そうに違いない!と思うとますますもって東京スカイツリーから紐無しでバンジージャンプしたくなる衝動に駆られた。これはもう今夜は枕を涙で濡らさねばなるまい。

さて、まあそれはさておき、文章で感情を伝えるというのは実は非常に難しいもので。

私も若かりし頃はメールで好きな相手に思いを伝えようとしたりしたこともあるが、私自身の文章構成自体がそもそも崩壊しているということもあるがやはり思いを文章だけで伝えることは無理だという結論に達し、断念した記憶がある。

 しかしそれでも人は文章で思いを伝えようとする。

これだけ電子化が進んで、手紙などショートメールでいくらでも手軽に送れる時代になればそれはやはりなおさらだ。

では現代日本人がその拙い文章構成能力でどうやって感情を伝えるかといえば・・・(笑)である。

おお(笑)、なんと便利なものであろうか。語尾につけるだけで明確に感情を伝えることが可能である。

 

例えば

「今日は仕事でやらかしちまった・・もう死にたいよ」

という例文を使ってみよう。我ながらなんという例文であろうか。私自身がやらかしちまった気持ちでいっぱいである。

 

これをそのまま読めばおそらく仕事で大きなミスをおかしたこの本人が思いつめ、悩んで苦悩する様を多くの方は想像されるであろう。しかしもしこの本人が死ぬ気などまるでなく、むしろそれを面白おかしく伝えたいのだとすればここに大きな問題が発生してしまう。そこで登場するのが(笑)だ。

 

「今日は仕事でやらかしちまった・・もう死にたいよ(笑)」

ご覧いただけるとわかるように一気に緊張感が消え、冗談めかして言っているのがわかるようになった。しかしなぜだろう、これが付くだけで途端にこの社員がいつも仕事でやらかしてはヘラヘラしているダメ社員に見えてくる。

 

そして、驚くべきはこれをさらに一歩進める技法があるということだ。

ご覧いただこう。

 

「今日は仕事でやらかしちまった・・もう死にたいよ(爆笑)」

いかがだろうか?ダメ社員度がケタ違いに上がった。私が社長なら解雇レベルの愚行である。

 

さらにさらにこうしたらどうなるであろうか

「今日は仕事でやらかしちまった・・もう死にたいよ(邪笑)」

何ということであろうか、会社へのリスクをあざ笑う敵会社から送り込まれたスパイ社員に早変わりである。

 

このように( )に感情を入れるだけでその発言の主の印象、キャラクターを全く違うものに変えてしまうわけである。恐ろしいシステムと言わざるを得ない。

 

やはり文章は難しいものだ。

ではもし私が若かりし頃にストレートに思いの丈を文章で伝えていたら、どうなっていたであろうか?

 

答えはこうだ。 

 

「ずっと前から君のことが好きでした(笑)、君のことを思うと胸のときめきが止まりません(爆笑)。もしよければ僕と友達からお付き合いしてくださいませんか?(邪笑)」

 

警察に通報である。