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極寒 極寒 キャンプである

2013年2月21日 09:57(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記

先日、私が足しげく通っているボクシングジムに所属している(現在は引退しているが)プロで、最近懇意にさせていただいている方から「杉山さん、今度うちの仲間と一緒に旅行行きませんか?」とお誘いを受けた。

彼は私と同い年であり、同年代故えに色々と語り合うこともでき、失礼かもしれないが友人になってほしいと思っていた人物なので、二つ返事でお誘いを受ける事にした。

「いやあ!早速参加してくれて嬉しいですよ!」

「とんでもない、お誘いいただいてありがとうございます!で、どこに行くんですか?」

「2月16日から1泊で山梨の川沿いでキャンプしに行くんですよ!」




どうやら空耳が聞こえたようだ。




こんなクソ寒い毎日が続くというのにまさかキャンプ?ふふふ まだ耳が遠くなるには早い年だろうに。


「すいません、今なんて?」

「いやだからキャンプしますよ!寝袋と湯たんぽは必ず用意してきて下さいね、凍死しますから





空耳ぢゃなかった。



これが品物であるなら即座にクーリングオフの対象になるのかを確認するところであるが、目の前で屈託のない笑顔を浮かべている仲良くなりたいと思っている人物を前にして口が裂けても言えない。でも今凍死ってサラっと言っちゃったよこの人!





そんなわけで神奈川と山梨の県境にかかる両国橋の下にあるキャンプ場にキャンプをしにいく事に。
アウトドアの経験などほとんど無い私であるからネットで知識を仕入れたりアウトドアショップに通ったりしてなんとか寝袋を購入。続けてテントを購入しようと店員に話を聞いたところ「初めてのキャンプでこの時期にテントでというのは命の危険があります。キャンプ場であればバンガロー設備などがあると思うので確認してそちらをとることをお勧めします。それでも暖について真剣に考えて下さい。凍死します


キャンプまでの数日間で実に私が35年の人生の中で聞いたトータルの回数よりも多く凍死という言葉を耳にした。今時の日本の本州に居住している中流家庭で凍死の心配をしているのは私くらいなものであろう。

その後、キャンプ場に連絡を入れ、バンガローを借りたい旨を伝えたところ「当日の予約でもかまわないからとにかくよぉく考えてから来て下さい」とのこと。もうやめてこれ以上リアルな意見は。


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そして眠れぬ夜を過ごし、いよいよ当日。

キャンプ場についてみるとすでに今回のキャンプに参加する方々は到着しており、テントや食事の準備を手慣れた手つきでどんどん進めている事ところだった。聞けば極寒の中でのキャンプはもう幾度も行っているとの事。何してくれてるんだこの人達。

基本的にはうちのジムに所属するプロボクサーさんと練習生が参加者なのだが、今回は道連れ・・もとい楽しみを共用するべく私の後輩カップルも連れて来ている。しかも思いのほかこいつらがテンション高く「わあ!楽しみ」という感じであるので逆に戸惑う。
事の重大さと危険さを理解しているのだろうか。

とりあえずスノボのウェアを引っ張りだして着用、下にも5枚ほどの重ね着をしているがそれでも寒い。

手慣れた感じで各々が作った食事を美味しくいただくのだがグツグツに煮えているスープが手の中で50秒ほどで清涼飲料水に変化する様はまさに狂気。

IMG_1958s.jpg

夜が更けるごとに気温は下がり続け、22時の時点で気温は−5度。
この中で高らかに爆笑を続ける面々はおそらく北欧に行っても問題なく暮らしていけると確信。カレー作るのにTシャツとエプロンという人物もいたのだが目の錯覚であることを信じたい。そもそも薪の火を絶やすのが死に直結するシチュエーションはなかなか経験する事ができない。寒さから身を守る為に体が代謝をあげているせいなのか、グラタン、スペアリブ、やきそば、野菜スープ、鳥スープ、カレー、バーベキュー、あぶり豚バラ肉、チョコレートフォンデュと次々に出てくる料理を平らげても食が進む。

さらに体を温めなくては、とワインを飲んでいたところ、ふと寒さを感じていない自分に気がついた。ああなんだろう・・心地よい・・気持ちがいい・・眠い・・・うおっ!




なんと言う事だろう、今死んだおじいちゃんが見えた。冬山で寝るな!寝たら死ぬぞ!をまさかここで自らがリアルに経験するとは思わなかった。

そんなわけで22時30分をもって私はバンガローへと搬送。
後日聞いた話によるとその後も宴は日が変わるまで続き、その後も何事も無かったようにテントで夜を明かしたという。まったくとんだダイハードである。

翌朝、思い思いの朝食をとり、片付けて解散とあいなったわけだが、死と隣り合わせの中、夜に見上げた空に輝いていた満点の星々は普段絶対に見れないものであり、薪を囲んで馬鹿な話で盛り上がった時間も非常に楽しむ事ができた。この場を借りて心からの謝意と次回もまた是非誘っていただきたい、という言葉を伝えたいと思う。


来月にも同じメンバーでのキャンプがすでに予定されているがこれを乗り切れた私に怖いものは無い。




次回はホッカイロで作ったテントを持参する予定である。