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その漫画、危険につき

2015年4月18日 17:22(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記

「漫画は絶対にダメ」

前回と同じく家人の一言でその話は始まった。

そもそもの始まりは私の愛娘が通い始めた小学校の学童保育の教室に漫画本がいくつもあった、ということが家人の気に障ったということらしい。学童保育に迎えに行った際に娘が「名探偵コナン」の漫画本を読んでいたのがとどめを刺した形です。
もともと殺人だの誘拐だのそういうキーワードに敏感であり、かつ「そもそも世の全ての漫画は害毒」というのび太くんのママも真っ青のちょっと理解できないおかしな倫理観の持ち主なので、「漫画本は芸術」と常々考えている私からするとその発言自体理解し難いのであるが、それでも家人の発言は引くことを知らない。いつもなら「はいはい有害 有害」と納得したふりをして話を切り上げるのであるが、さすがに漫画を読める歳になった娘のことを考えると少し不憫な気もしたのでその日は食い下がってみました。

「あのさ。漫画はダメ、と一律に言うけどさ、例えば「大長編ドラえもん」とかもダメなわけ?僕はあれで動物愛護とか自然保護とか愛とか友情とかそういう色々と大事なものを学んだ、っていう気持ちがあるんだけど」

「内容がどう、というよりも漫画という存在がダメなの」

「なんで?」

「集中してそればっかりになっちゃうでしょ」

「でも今ここにテレビにかじりついてドラえもんのアニメに集中してそればっかりになっている娘がいるわけなんだけど、これはいいの?」

「アニメはまあしょうがないじゃない」

「なんで?違いはどこにあるの?山は死ぬの?

「とにかくダメなものはダメなの!」

いきなりおまえのものは俺のもの!みたいなテンションでブチキレられました。 
しかしやはりアニメはいいのに漫画がダメ、というのにはどうしても納得がいきません。

「まあ例えばコナンがダメ、というのはわかるよ。人が殺されたりとかあまり教育上いいものじゃないとは思うしね。でもさ、漫画を読むことで興味を持って言葉を覚えたり表現を学ぶという意味では漫画はアニメよりも自分で読むという意味で優れていると思うんだけども。アニメはどうしても情報を受け取るだけのものだからね。だから内容を吟味した上で漫画を渡すことにそこまで抵抗をもつのはどうかと思うんだけど。俺もそうやってきた経緯があるからさ」

「だからあなたみたいになられたら困るのよ!

いきなりとんでもない暴言が飛び出しました。
対岸の火事を100%善意で消そうと協力しに行ったら「お前が火をつけたんだろうこの放火魔めが!」といきなり断定された感じです。なにこのとばっちり感、というかどう考えてもただの悪口です。

「それはちょっとあまりにもひどいんじゃないかな・・これでも結構色々と言葉知っているよ?」

「言葉を知っていても未だに漫画読み続けてるじゃないの!気持ち悪いのよ!」

あろうことか面と向かって キモチワルイ と言われました。
ああなんだろう吐きそう。


「気持ち悪い・・ですか・・」

こみ上げてくる吐き気をそのままに家人の顔面めがけてぶちまけたい衝動を必死で押さえながら絞り出すように声を出します。

「そうじゃない!いい大人が一体いつまで漫画読むわけ?」

「それは君に僕が「一体いつまで表参道まで行って数時間もかけて髪切ってくるの?」と聞くのと同じだよ」

「全然違うじゃない!」

「うん。違くない。僕からすればそれはただの時間と労力と金の無駄だからね。君の感じる気持ちも同じでしょう?人様の趣味とか生き方・ライフスタイルについて口を出してはいけないと思うんだよね。僕の少ない趣味の一つなんだよ」

「どこが少ないのよ!漫画・ゲーム・バンド・車・ボクシング・フットサル・料理・炊事・洗濯!」

「いくつか強引にねじ込んだな」

「あなたのことなんてどうでもいいの!うちの娘にはまだ漫画は早いの!」

「じゃあいつからならいいの?」

「中学生とか!」 

口癖が「破廉恥」のPTA役員のおばさんかおまえは。

「あのね。親がどれだけ触れさせないようにしても子供はいずれ自分の選択で好きなものを手に取ると思うんだよね。遅いか早いかの違いだと思うし、小さな子供の時には親がきちんと選別してあげれば決して有害にはならないと思うよ」

「父親がきちんと選べなさそうだから心配だって言ってるでしょ!」

さっきから全裸のままメリケンサックでメッタ打ちされてる気分です。

「じゃあ君が選んであげればいいじゃないの・・日本の歴史とか百科事典だって漫画で描かれたものはすっと頭に入るよ」

「漫画はダメなのーーーーーーーーーー!!」

私として最終的には「子供の自主性を尊重」というとりあえずどうにでもなる玉虫色の展開に持ち込むのが目的でしたがこの家人テンションですとなかなか難しそうです。この異常なまでの拒否反応は一体なんなのでしょう、幼少時代に漫画に大切な友達を喰われたりとかしたんでしょうか。

と、いうわけで結局この日の話し合いも完全に平行線をたどってしまいました。
皆さんのご家庭でも似たような話し合いが行われておられますか?だとしたらどのように落とし所を見つけられたのでしょうか。もしよろしければお教えいただけると幸いです。



とりあえず家人には世の中には漫画なんかよりももっとこんなに有害なものがあると言うことを知っていただけるような物凄い何かをプレゼントしようと思っています。