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姪探偵困難

2016年1月 6日 13:13(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記

ここだけの話なんですが推理小説を愛しています。

中学生くらいの頃から当時流行っていたいわゆる「本格推理」という流れの推理小説を読み漁りました。今現在拙いながらもこのように定期的に文書を書けているのはその当時からの読書が大きなウェイトを占めているのは疑いようもありません。今までに読んだ推理小説の数はおそらく千冊ではきかないと思います。

ただ、それだけの数の推理小説を読み続けてきますとやはりある程度「パターン」というものが見えてきてしまうのも残念ながら事実です。例えばいわゆる「密室もの」とか「雪の山荘もの」とか「列車時刻表もの」とかそういうカテゴリでの分類がまずそれにあたります。

古くはエラリー・クイーンやアガサ・クリスティ、横溝正史から近年ですと綾辻行人や島田荘司などが定番とはいえその内容の面白さに舌を巻いてきましたが、古今東西の推理小説を読み漁ってきますと「ああ、この流れか」という風にある程度見えてきてしまい、退屈に感じることがしばしばあります。
また、密室のトリックや電車の時刻表トリックなどは「ああ〜なるほどね・・で?」となってしまうことも多く、細やかなトリックに対する感動が薄れてしまいがちです。

そういう私みたいな読者が多いせいなのか純粋に二番煎じのトリックが嫌なのか、近年では「叙述トリック(文書そのものにトリックが存在する)」や驚天動地のかなり力押しなトリック(巨大なブルドーザーを使って無理やり密室をつくるなど)などが出始めてきましたが、それも最近になりますと「ああ、このパターンか」と思うようになってきてしまいました。我ながら嫌な読者だと思いますがどんどんトリックのネタを潰されていく最近の推理小説作家さんたちも大変だなあとしみじみ思います。

じゃあお前が書いてみろよというご意見も出てくると思いますので、今日は私が世の推理小説家の皆様に「こんなトリックはどうですか?」という提案をさせていただきたいと思います。どうかご参考までにお聞き下さいませ。



提案その1:一番最初の被害者が主人公の探偵

いかがでしょうか。名推理をもって事件を解決に導くはずの名探偵が一番最初にあっさりと殺されてしまう。おそらく古今東西の推理小説ではこうした流れのものもあったかと思いますが、私なりの個性としては名探偵を殺された関係者全員がテンパり、疑心暗鬼にかられまくって最終的には真犯人もろとも殺しあって豪快に全滅という斬新な内容を提案したいと思います!

タイトルは「そして完全に誰もいなくなった」
オチ?あるかそんなもん。



提案その2:真犯人が最初から最後まで失敗し続ける

真犯人というのは基本的には完全犯罪を目論み、名探偵や関係者たちの目をいかにあざむくか、というところに推理ものの面白さがあると思いますが、ここであえて完全に逆の発想で真犯人がミスしまくる、という内容を提案します。
例えばうっかり狂気をポケットにしまったまま忘れる、うっかり殺す人間を間違える、うっかり「こ、この中に俺以外にも殺人者がいるのかッ?!」と口走る、などなど。これもこんなにドジな真犯人がいるはずはない、最後の最後でどんでん返しがあるだろうという読者の期待を名探偵が真犯人を指名するお約束の断崖から勝手に足を滑らせて転落死するという斜め上の展開で幕を閉じます。これはある意味オチているのでオチあり。

タイトルは「犯人は山田」



提案その3:名探偵がどう考えても愛せない

赤川次郎先生の作品で見た目も性格も悪い中年の刑事を主人公としているシリーズがありますが、これはその一歩上をいく探偵で、そもそも歩くだけで通行人が悲鳴をあげて逃げていくレベルの汚臭を放つ50代後半の男性が主人公。ボリボリと髪をかいてシラミを落とすとかそういう次元ではありません。事務所に入った依頼者がカジュアルに嘔吐します。現場でのマナーや関係者に対する態度も最悪で、助手にすら嫌悪されるという奇跡の存在。主人公だけあって推理力は持っており、難事件も解決するのだが、毎回最後には依頼者になぜか唾を吐きかけられて終わるという定番の展開が。この展開に読者も納得、ということで息の長いロングセラーシリーズに

タイトルは「汚物探偵」


提案その4:名探偵からの挑戦がハングル文字

よく最近の推理小説を読んでおりますと解決編が「名探偵(あるいは真犯人)からの挑戦」と銘打たれた袋とじになっているものがありますが、私からの提案で名探偵からの挑戦が全てハングル文字で書かれているというものを。真犯人の正体やトリックを暴こうにもそもそも訳さないと読めないというアバンギャルドな仕様に読者も(本を五寸釘で)釘付け

タイトルは「新年明けましてカムサハムニダ」




誰も本にしてくれなかったら今年の秋くらいに上のテーマのどれかで一つ短編書きます。