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金沢・富山に降りた天使 前編

2016年5月24日 13:20(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記

事の発端は4月の半ば頃、家人から突然に言い渡されたこの一言だった。

「あ、そうそう。5月の連休はおねえちゃんと妹の家族と那須高原に行くから。来ないよね?

「ん?あ、そうだね」

なるほど、もうじきGWか。今年もどこに行っても芋洗い状態の中家族連れのお父さんは大変だよね。ああなるほどね、そういう状況に俺を叩き落とすようなことはしたくない、という粋な取り計らいをしてくれたということなんだ、ふふふ、僕は良い妻を持って幸せdねえ聞き方おかしくない?

確かに嫁の三姉妹と一緒ということになるとちょっと自分はお邪魔かな、と思う気持ちはあるけれど子供達も一緒ということになるとわざわざ自分を除外する前提に悪意を感じざるをえない。なんか友人のサプライズ誕生日パーティーに自分だけ呼ばれてなくてサプライズしたみたいな感じがする。

「えっと・・行かなくてもいいの?荷物運んだりとか車運転したりとか・・」

「あ、うん。多分大丈夫、全部手配済みだから」

自分不参加の前提で話、もうまとまってた。

「たまの連休だし、たっくんはどこかで羽伸ばしてくるといいよ」

普段だと非常に嬉しいお言葉なのですが、この状況下でのこのセリフは「もう帰ってこなくてもいいから」と聞こえてなんだかすごく嘔吐しそう。

「じゃ・・じゃあ・・北陸でも行こうかな 独りで」

「あ、いいね!楽しそう!」

おかげさまでなんら楽しくねえよ。

以前に家人に海鮮を食べに北陸に行きたいと行った際に「私 海鮮はちょっと・・」と即断してきた黒歴史が脳裏に浮かびます。


そんなこんなで北陸に一人旅をすることになりました。

最初のうちは僕一人を置き去りにしたこいつらの旅行先の部屋で切腹自殺でもしてやろうかとプランニングしかけましたが、生来ポジティブな人間性でして、どうせなら何の拘束もない一人旅を満喫してやろうという気持ちになり、いそいそと旅行を計画。
まずはやはり新幹線の開通で距離の近くなった金沢へ観光。そしてその足で富山で一泊し、北陸の海鮮に舌鼓を打った後にゆっくりと帰宅するという5月4〜5日、1泊2日の日程を組みました。


そして当日の朝、東京駅から北陸新幹線に乗り込み金沢へ。
次第にのどかになっていく車窓を見ながら置き去りにした家人への復讐計画をこれから始まる旅路への期待に胸を膨らませます。そして、およそ2時間後。金沢へ到着。


初めて降り立つ金沢の駅。
GWということもあり非常に多くの方でにぎわう金沢駅はその美しさで有名なだけあって非常に芸術的で独創的なデザイン。
改札を出てすぐに観光案内所のスタッフさんに手渡された駅案内のパンフレットを見ながらゆっくりと駅を出ます。

僕が組み立てた金沢観光の計画はこんな感じです。

近江町市場で海鮮丼を食べ、まずはエネルギーを補給!その足で兼六園の庭園を愛でつつ隣接する金沢城公園を散策、少し足を伸ばして武家屋敷跡でかつての金沢の町並みから歴史に思いを馳せつつ、ゆっくりと近隣にある茶屋できんつばなどをいただき、日が暮れた頃に本日の宿泊地である富山へと・・・。


どうですか?楽しそうでしょ!ワクワクするでしょ!!
独りぢゃなきゃね。

あんまり恨み言かましてもらちががあかないのでこれくらいにしつつ。
観光のパンフレットを握りしめながらまずは近江町市場へ出発。

金沢はバスでの観光がしやすいように交通網が整備してあるようで、駅からも様々な場所へ向けてのバスが用意されているようでしたが、天気もいいしここはあえてのんびりと歩いて行こうと人通りの集まるバスターミナルを離れ、街道を歩き始めました。

20分も歩いた頃でしょうか、進行方向に「近江町市場」と表記のある看板とそれらしいアーケード街が見えてきました。
市場に入りますとうわっ!という熱気とともに人、人、人の波。予想以上の人です。

新鮮な北陸の食材が海鮮を中心に所狭しと並べられ、元気に売られています。
現地の人達はこういう場所は避けてご自身たちの行きつけのお店に行かれるのかもしれませんが、観光客にとってはやはりこういう場所は楽しく、テンションが上ります。

それにしてもスゴイ人だなあ・・やはり北陸に来たからには海鮮料理を食べたいものですが、どの店もすごい行列です。かなり待ち時間が出てしまうのは覚悟しなくてはいけないなあ・・。よし!でもせっかく来たからには美味しい店で食べたいしどうせ時間はたっぷりあるんだ!どうせなら一番列の長い店に並んでしまえ!うわっ・・しかしこれはスゴイな、先が見えないくらい混んでるよ・・ふふ、でもまあ並びがいがあるってもんだ。1時間でも2時間でもこい!・・え?あ、はい、一人ですけど・・。え?いや、でもまだ並んだばっかりで列もこんなに・・え?一人席が空いてる?一人の観光客が他に誰もいない?




・・・2時間位待つ気合でおりましたところ2秒で席に着いてしまいました。皆の羨望と眼差しを一身に浴びつつ列を通り抜けて店に入る時に誰かが私に向かって「なんだか可哀想」といったような気がして気分は一気に服毒自殺日和に。


死んだ魚のような目で「北陸の絶品炙り4種丼」を食べながら「ウククク・・エケケケ・・」と奇っ怪な笑いがひとりでに口から漏れ出す私の精神状況はどこまで持つのか!?後半へ続く!