ラブレターとチェーンソー
2016年10月 7日 11:34(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記
「おとうさん わたしね、ラブレター書いたの」
夕食のひととき、ふと娘が発した一言に私の持っていたフォークがカシャーンと乾いた音を立ててテーブルの下に落ちました。
うちの娘は小学2年生。
同じ年のお子さんと比較しても基本的には子供っぽく無邪気なほうだと思うのですが、わりと男の子に対しては「すき!」と保育園の時代も積極的に攻めていた記憶がありますので将来大丈夫かねえなどと笑いながらワイフと話していたものです。
が。
小学生にもなってくると何というか父親として「好きな子ができた」という言葉を受け止める重みがズンと大きく増したような気がします。
そうはいってもたかが7歳の小学2年生だよ!と言われればそれはそうなのですが、無邪気に好き好き言っていた保育園時代と比較すれば周囲の男の子や女の子も精神的に成長しており、なかにはおませなお子さんもいるでしょう。そういう中でラブレターを書いて渡すという行為が要するにうちの愛娘をたぶらかしたお子さんに父自ら引導を渡したい。
「そ、そうか。りっちゃん好きな子ができたんだね」
「うん!U君っていうんだ!すごく運動ができてカッコいいの!」
「ほ、ほう。そうなんだ。なら他にもライバルとかいるんじゃないの?」
「ううん、皆は全然見た目カッコよくないっていうから好きなのは多分わたしだけ!」
娘の美的感覚に一抹の不安を感じつつもそれよりもライバルがいないということは思いが成就してしまう可能性が高まったという危機感のほうが強く、もし小学二年生のくせに彼氏と彼女みたいな関係性になった場合は学校側としてはどのように注視していただけるかPTA会長と担任の先生にも直接ご連絡して要するに成就させないために社会的に抹殺組織ぐるみの工作を計画させろ。
「そ、そうなんだね。で、ラブレターはもう書いたの?」
「うん!なくさないようにいつもここに入れてるの!」
そう言う娘の懐から六角形に器用に折りたたんだ折り紙が出てきました。どうやらこれがラブレターのようです。
「ど、どんなこと書いたの?」
「読もうか?」
無邪気に折り紙を広げ始める娘。ですがこの文章を読み上げられてしまったらもはや相手のクソガキを山に埋めるまでこの溢れ出る殺意感情(T-BOLAN)が止まらない可能性が高くなります。。
相手のお子さんのためにもここは聞かないでおくべきです。
「あ、いやおとうさんは別に聞かなくてm「U君へ。だいすきです。あなたはわたしのことどうおもっていますか?おへんじください」あああああああああああ。
勝手に読み上げられてしまいました。しかしこの文面!なんというか子供らしいけれど感情の詰まったいじらしい文面に胸がキュッと詰まるじゃないですか!なるほど!こんな心のこもった手紙をうちの娘に書かせるほど魅力的なお子さんなんですね!(^0^)これはもう本当に地獄に叩き落すしか。
「す、すごいね。それは貰ったらきっと相手も嬉しいよね!」
「そうかな?受け取ってくれるかなあ」
「あ、あのさ」
「なあに?」
「もし、もしもだけどさ、その子がその手紙受け取ってくれなかったりしたらどうするの?」
「えーそしたらりっちゃん泣いちゃうなあ」
充分死罪に値するわ。
「そっかそっか。うん、でもきっと大丈夫だよ、でももし辛いことがあったらおとうさんにきちんとお話してね」
「うん!わかった!」
・・・と、いうやり取りが1週間前にあり、実は昨日のこれまた夕食時ことなのですが、ふとこの件を思い出した私が娘に「そういえばラブレターどうなったの?」と聞いたところ、「渡したんだけどプイって無視してどっかに行っちゃったんだー」という娘の返事。
解釈が非常に微妙なところです。好きだが恥ずかしくて無視してしまった可能性もありますし、うちの娘に告白されたのが嫌だったので無視して何処かに行ってしまった可能性もあります。いずれにせよ明日の太陽は拝ませませんが、うちの娘のためにも真実を知りたい気持ちもあります。
「そうかあ。恥ずかしかったのかもしれないねえ」
「うーん、でもわたしも何か急に恥ずかしくなっちゃってお友達に「ビリビリ破いて」っていっちゃったの」
「え?ラブレターを?」
「うん。そうなの。破ってもらっちゃった」
「そうだったんだあ。でもまああんまり気にしなくてもいいんじゃないかな。お父さんがその子だったらきっと逃げちゃうかもしれない。恥ずかしくてね」
「うーん そっかあ」
「うん。でもまあ破ってしまったのならスッキリしたんじゃない?まだちょっとりっちゃんには早かったんだよ。そういうのはもう少し大人になってからでも・・」
「でもまだいっぱいスペアがあるのですけどもな」
(懐から4〜5通の折り紙ラブレターを次々に取り出しながら)
存外、うちの娘もたくましく成長しているようです。