サンタ、散る
2016年12月26日 16:00(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記
さて、とりあえず本年最後のブログ更新になるであろう更新になりますので「今年もお世話になりました!」的な内容にしようかと思いましたが、そういう世俗から逃避するためのブログですので無視してつい先日に起きたクリスマスの惨劇について書こうかと思います。
さて、うちには現在8歳の娘と2歳の息子がおりますが、2歳の息子はようやくクリスマスやサンタクロースというものについての認識ができたばかりの状況であり、8歳の娘はサンタへの致命的な疑問点を抱きつつ(どうやってセコムのホームセキュリティをかい潜れるのか等)もまだまだその存在については信じている、というそんな状態。年齢が離れた姉弟を持つ父としてはこのクリスマスというファンキーなイベントに際して少々気を使う部分があります。
今年のクリスマスといえばどこかのピザチェーンが本気でトナカイで宅配に出ようとしていたなどというアバンギャルドなニュースにテンションが上がりましたが(国道でのトナカイの立ち位置を教えてほしい)、個人的には例年よりもやたら仕事が忙しく、ふと気づいた時には娘に告げていたサンタへのプレゼントリクエスト提出期限が過ぎてしまっていました。これはまずい事態です。
ご説明しないといけないのですが「プレゼントリクエスト期限」というのはサンタの存在を訝しみ始めたうちの娘にうっかり「サンタはサンタカンパニーというデリバリーチェーンに属しており、そこから全国の派遣登録されたサンタが家々にプレゼントを運んでるんだよ」という説明をしてしまった事をきっかけに(嫁に「オマエ馬鹿か、滅びろ」と散々なぶられましたが)、「手紙を12月の10日までに提出しないと正しいプレゼントが届かないおそれがある」というただ自分の首を絞めるだけのルールを口走って作ってしまったルールなのです。そしてそれを私よりも健気に記憶していたうちの娘、10日を過ぎていたことにはた、と気づき、テンパった表情で「おとうさん、リクエスト期限すぎちゃった!どうしよう!」と私のところに飛び込んできました。
「お、おおそうか。まだ何とかなるんじゃないかな?」
「そうかな!急いでお手紙書いたんだけど」
「お、そうなんだね。ちょっと見せてみてくれる?」
「あい」
慌ててノートに書いた後に勢い良く引きちぎって持ってきたところに娘の必死さが伝わってきます。あとプラシチックと表記する辺りのセンスが我が娘ながらたまりません。
「顕微鏡がほしいんだね」
「うん!だいちゃんは新幹線のおもちゃがいいと思うよ!」
「わかったよ。じゃあ今日早速投函しておくね」
「間に合うかな?」
「うん、速達にしておくから。年賀状も少し遅くても届くし大丈夫だとは思うよ」
「わかった!」
と、いうことで安堵の表情の娘から手紙を受け取り、その足で慌てて家人の元へ。
状況を耳をそばだてて聞いていた家人も少々慌てた表情です。
「すっかり忘れてたね、今ヨドバシで調べたら顕微鏡もう品切れしてた」
「なんと!顕微鏡意外とニーズあるのか」
「うん、おとうさんも得意のAmazonで調べてくれない?」
「御意」
Amazonで調べますと顕微鏡の在庫が残2となっています。
忙しいため家電店に買いに行く余裕が無いのでネットで購入するしか無い状況ですからこの残2にかけるほかありません。大急ぎでカートに放り込み、プレゼント包装の設定をいそいそとした後で購入画面に進み、ポチッと購入。
『ご購入、ありがとうございました』のメッセージが出てほっと一息。
家人に報告に戻ります。
「ママ、大丈夫。残2だったけどきちんと買えたよ」
「ありがとう。念のため確認しておくけど家に送付とかにしてないよね?」
「してた」
「よし、死ね」
危ないところでした。
サンタクロースからアマゾンプライム便でプレゼントが届いたら家人にす巻きにされてスモークで燻されかねません。なんとか送付先を薬局へ変更することができ、今度こそ一安心。
翌日に届いた可愛くラッピングされた2つのプレゼントをこっそり車のトランクに隠して数日。ようやく迎えた24日の夜。サンタさんを待つんだ!と頑張って起きようと誓いあったわりにすぐに寝てしまった二人の子供達を確認し、夜の11時頃。サンタカンパニーの派遣社員が動き出します。家の前に停めてあるマイカーのトランクからこっそりとプレゼントを出して家の中に運び入れます。我が家は閑静な住宅街の中にありますのでドアロックを開閉する機械音やトランクを閉める音などがやたら大きく響きます。
そのたびにドキリとしながらも何とか家の中に荷物を運び入れると次は設置場所を決めます。
子供と一緒に高いびきのいい気な子供を一緒に寝かしつけてくれた家人からは「リビングの子供達のそれぞれの椅子にそれぞれのプレゼントを置いてね」という命令お願いをされておりますのでその通りにします。
よし!これで準備完了!
と、いうことで時刻も時刻ですので自分の部屋(小屋裏)に戻り、布団に潜り込みます。
子供達の喜ぶ顔が楽しみです・・・
で、翌朝。
「おとーさん!サンタさんがプレゼント置いてきてくれてる!」
娘の歓声で目が覚めました。
「おー!よかったね〜」
布団から出て子供のいる1階のリビングへ。
私が置いた2つのプレゼントがまだ未開封のまま椅子の上に置かれています。
その前で狂喜する娘。
「あけてごらんよ」
「うん!」
ワクワクが止まらない!という様子の娘、いそいそと袋のリボンを外していきます。
「どんな顕微鏡かな!」
期待に胸を膨らませる娘の笑顔に私もニコニコしながら状況を見守ります。
「あー出てきた!かわいーーーーー・・・・・なんだこれ」
出てきたのは顕微鏡でなく小児用のマグネットパズル。
「あ」
その刹那、背後に殺気を感じました。
おそるおそる振り返ると人間ってこんな表情できるの?というくらい無表情で私を見つめる家人が。思わず口から「ひぃっ」と恐怖の声が漏れ出ます。
『オマエ プレゼント オキチガエタナ』
口にしないのに心に無機質な家人の声が響きます。やだ、なにこれテレパシー?
『ご、ごめんなさい』
『オマエ マタ ガッカリ イノチヅナナシデ バンジー』
『お、お許しを!』
『シネ』
『ひいっ!』
テレパシー会話のプレッシャーに耐えきれず慌てて娘に声をかけます。
「り、りっちゃん!サンタさん置き間違えただけじゃないかな?もう一つの方を見てごらん!」
「そっかあ!うん!」
絶望の表情からぱっと顔を明るくさせると弟の椅子に置いた方の包みを開ける娘。
包みの中からは当然顕微鏡が出てきます。
「あった!顕微鏡!サンタさん持ってきてくれたよ!」
「お、おお!よかったねえ!サンタさんうっかりしちゃっただけだったね!」
喜びの表情で顕微鏡を抱えると二階で寝ている弟にサンタの来訪を知らせるために駆け上がっていく娘。
・・そして取り残される夫婦。
「あ・・あの・・ごめんね、包み、開封したことなかったから・・大きさも同じ感じだったんで・・」
『オマエ イマスグ マルカジリ』 「テレパシー止めて!」
メリー・クリキントン。
皆様、どうか良いお年を。