僕の愛車は軽の2シーター、「コペンセロ」です。
軽自動車ゆえにキビキビとどんなに狭い道でもすり抜けていけるし、ボタン一つ押せば電動で屋根が開き、オープンカーへと20秒ほどで変形するイカしたヤツです。

つい昨日なども信号待ちの時に後ろから小学生の男の子たちがやってきたのでおもむろにオープンスイッチを押してみる。すると男の子達の目の前でウィィィィンと屋根が開き、これまた自動的に開いたトランクに収納されると彼らから驚きと感動の入り混じった「すっげええカナブンみてえ！！」と歓声が上がるのが正直快感でたまらな誰がカナブンだこの野郎！！！

・・・と、いうわけで大層お気に入りのカワイイ我が愛車なのですが、軽自動車で２シーターということで内部はかなりコンパクト、言い換えれば狭いんです。
座席のリクライニングはほぼありませんし、疲れた時に座席を倒して一眠りというわけにもいきません。居住性能を見ればミニバンなどとは比べるべくもない不便さ満開なのですが、なんというかそれを補って余りある大人のおもちゃ感が溢れているので愛着がどうしても湧いてしまいます。

そんな愛車に乗り、昨日も朝、薬局へ通勤しておりました。
薬局の駐車場に到着し、助手席においておいたマイバックを手に取り、車高が低いために運転席から潜り出るように出ようとしたその瞬間。
運転席左手にあるシフトレバーにマイバックの取っ手が引っかかり、バッグの中身がドサドサっと飛び出してしまいました。うああああ。

慌てて外に落ちた筆記用具やら財布やらをかき集めますが、あ、あれ？仕事に無くてはならないiPadProが見当たりません。外にも下にも落ちていないようですが・・・ど、どこいったんだ？

ん？あ！！

運転席の右手のスペースによーく見るとiPadがはまり込んでいるのがかすかに見えます。
あっちゃー・・・こりゃまた面倒くさいとこにハマったなあ・・

普通の車であれば運転席の足元から手を伸ばせば空間があるので簡単に取れると思うのですが、この車の場合、運転席足元に空間がないので下から取り出すことができません。
と、いうことはつまりこのほっそいスペースに無理やり手を突っ込んで引っ張り出す他ありません。

新調したばかりのiPadProは薄さこそかなりのものですが、重量はそれなりにあり、この狭いスペースに手を突っ込んで取ろうとすると指先２本くらいの力で持ち上げなくてはならないので地味ですがかなり難度が高くなります。

もうなんで朝からこんな目に・・・
トホホと呟きながらそれでも右手を手刀の形に出来る限り薄くして、ゆっくりと狭いスペースに入れてみます。

なんだコレ・・ほんとに狭いな・・・
ぬぐぐぐ・・・・

ごりゅ。

なんかおかしな感触と鈍い音が自分の手から出ました。
・・・いててて、なんだこれ、どっか筋違えたか・・・何の因果でこんな目に・・・

嘆きつつとりあえず手を引き抜ｋ・・・・あれ？

ぐいっ　

ぐいっ

ぐいっ

・・・・・・抜けない。

おかしな角度で手を差し込んだせいか手が抜けません。笑ってしまうような状況ですが大マジです。
手の角度を変えて抜こうとすると激痛が走ります。

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい

何だよ！何なんだよこれ！俺が何したっていうんだよ！！！終戦特集見て朝から号泣してただけぢゃねえか！！パニックに陥る頭の中で昨晩息子に読んで聞かせたばかりの「おおきなかぶ」の♪それでもかぶは抜けません〜♪の歌がリフレインしますうるせえ！！！

時計を見るとすでに出勤時刻の９時を５分過ぎています。
電話してますみ先生に「ごめん車から手が抜けないんで助けに来て」と救助を呼ぶ手段もありますが「またネタですかいい加減にして下さい。カジュアルに薬局辞めます」とか言われかねません。

痛みと焦りで冷や汗浮かべながら何とか手の角度を抜けるようにしようとしますが本当に痛いです。これもう折れてる可能性すら否定できません。

朝から信じられないくらい馬鹿な事情で悶絶していると薬局の別の駐車スペースに一台の車が・・
あっ！！！！あの車！！！最近うちのお客さんでもないのに勝手に長時間駐車してやがるバンだ！！！こん畜生！ここで会ったが百年目！！運転手に文句言いまくって・・手抜けろやあああああああああああああ！！！！

なんかもうその辺に落ちている糸鋸で手首ごと切り落としてやろうかというくらいイライラしますがそうこうしているうちにバンから降りてきた金髪タンクトップのお兄ちゃんが目の前を通過していきます。おい！そこうちの駐車場なんだよ！勝手に停めてるんじゃない！おい！聞いてんのか！おい！！おいってばねえ助けて！！（懇願）

最終的にどこかへいなくなってしまった金髪のお兄ちゃんの後に駐車場にやってきた美容院のおじさんに「愛車に喰われました」と事情を話し、スペースに鉄のつっかえ棒を挟み込んで何とか手を引き抜いてもらいました。

御礼を言いながら「いやあ愛車と一心同体なんで」とフォローを入れてみましたが快感を感じるくらいナチュラルにスルーされた今日の関東地方、今夜は熱帯夜。