漢方での喘息の捉え方
2016年8月31日 09:43呼吸器のお話
今回のテーマですが「喘息」です。喘息とは、ある原因により気管支が急激に収縮して、のどの気道が狭くなることで呼吸が苦しくなり、呼吸のたびにヒューヒューと音がする特徴的な喘鳴と言われる症状が発作的にでる病気です。一般的に喘息はアレルギーとの関連が深いとされている病気ではありますが、アレルギー以外の原因でも発症することがあります。
現代医学的での分類で見ると
・アレルギー型
・感染型
・混合型
の3つのタイプに大別されます。
アレルギー型の喘息の主たる原因はいわゆるアレルゲンであるホコリやダニ、タバコの煙、冷気、気圧の変化などの刺激が加わって発作を起こすタイプで、感染型の喘息は、ウイルスや菌などが感染源となり感冒などでのどの付近が過敏になるために起こるタイプです。また、アレルギー型と感染型の両方の特徴を持つのが混合型で、現在の喘息はこの混合型タイプが多数を占めていると言われています。
【発作の起きやすいタイミングや要素】
喘息の発作は、気温に敏感で、大きく変動する夜中から早朝にかけて起こりやすく、広く見れば季節の変わり目に多く発症します。夏は、汗をかきやすいので皮膚呼吸や老廃物、水分の代謝が割合スムーズに行われますが、涼しくなってきますと汗をかかなくなるために、代謝が低下し、さらには乾燥してくるために粘膜が傷つき、ノドに炎症が起こりやすくなることでその分の負担が気管にかかるため、秋口に喘息症状は悪化しやすいといえるでしょう。まさしくこれからの季節に注意が必要ですね。
【漢方による対策】
漢方薬での対策ですが、喘息体質を改善する根本治療を基本としていますので、発作期のつらい症状には西洋医学中心の対症療法を、緩解期には漢方薬での体質改善を行っていくのが望ましいやり方でしょう。ただ、西洋薬に頼りたくない!という方には発作時にも用いることができる漢方薬もあります。
発作期の漢方
肺の機能を高めて、肺の中に起こる痰や炎症によるトラブルを鎮め、つらい咳を止めます。この際に大切なのが、「痰の色」。黄色い粘り気のある痰が多く出る方のつらい咳は「熱症」、鼻水や透明で水っぽい痰が大量に出る方には、「寒症」と分類し、それぞれに合わせた漢方薬を用いる必要があります。
緩解期の漢方
いくつかのタイプに分類していく必要があります。まず①息切れしやすい・汗をかきやすい・風邪をひきやすい・動くと症状が悪化するなど、慢性疾患などが原因で肺の機能が低下してしまったタイプには肺にエネルギーを補充する漢方薬や免疫力を高める漢方薬で肺の機能を強化します。
また、②慢性病や心身の疲労、虚弱体質が原因で、生命力の根源である腎の機能が低下したタイプで、これはさらに前述した体が「冷えるタイプ」と「熱やほてりを感じるタイプ」に分類していきます。
そして③夏の終わりに多くなるタイプですが、食欲不振・軟便・疲れやすい・舌がむくんで歯形がついているなど、虚弱体質などが原因で胃腸が弱く、消化吸収や水分代謝が低下しているタイプです。おなかの虚弱はアレルギーを増悪させる大きな要因になりますのでおなかのケアはとても大切になります。漢方薬にはこうした体質を改善させていく良い物がたくさん存在します。
【ご家庭での対策】
最後にご家庭でできる喘息の予防ですが発作を起こさないようにするには、まず発作の原因となる風邪などの感染症から体を守ることが大切です。
アレルゲンとなる花粉やハウスダスト等をこまめにシャットアウトする事も大事ですが、それと合わせて適度な運動や早寝早起きなどの良い生活習慣を加えて皮膚を鍛え、呼吸器を強くすることも重要です。食生活に取り入れてほしいものとしては免疫・抵抗力を高める目的でシイタケなどキノコ類、胃腸を丈夫にする根菜、レンコン、気管を拡張し、肺を潤して強化する山芋や銀杏、ユリ根、梨などの食物が良いでしょう。特に秋の旬の食べ物には肺に良い物がたくさんあります。
こうした健康づくりへの毎日の積み重ねが辛い慢性症状やアレルギーを打ち破る大事な要素になりますのでお悩みの方は生活の見直しも心がけてみてください。つらい症状には漢方薬も是非お試し下さい。