HOMEタクヤブログ>善人ヒポクラテス

善人ヒポクラテス

2016年3月25日 17:48(できる限り)毎日更新 乱れ書き日記

先日、電車の中でとんでもないものをさらけ出しかけたわけですが、まあ生来お気楽ご気楽な性格なものですので既に全く忘れておりました。

そんな中、つい先日、家人より子供のお迎えに行く私に「下の子の靴を保育園から持って帰ってきてほしい」という依頼がありまして。
はいはい、と引き受けて仕事の帰りに息子のお迎えついでに保育園に寄ったのですが、なぜかその日は保育園からやたらと持って帰ってくれと言われるものが多く、息子を片手に抱いていっぱいいっぱいな感じで最後の最後、下駄箱のところで小さな息子の靴を持つ余裕がほとんどなく、なんとか自分のカバンの裏ポケットに靴を放り込んで帰ってきました。

その日は久しぶりに地元の仲間の家で飲み会が行われる予定になっており、息子を連れ帰るとその足でいそいそと自転車で10分ほどのところにある仲間の家へと向かいました。

ひとしきり楽しく騒ぎ、宴も終焉!とあいなった時、時計を見ると夜の11時を少し過ぎた頃でした。

我が家のルールとして「日にちが変わってから帰ってきたら死刑」というどこかの独裁国家より異常な法律がありますので少々慌てます。

「あ、ごめん俺先に帰るわ」

仲間もうちのルールは知った上なので「遅刻しないよう気をつけてね」「気づかなくてごめん」「遅くなってごめんな」「あ・・なんかごめん」と言われれば言われるほど辛くなる謝罪の挨拶を口々に返してくれます。

いたたまれない気持ちと共に友人宅を一足先に出て、駐輪場に停めてある自転車に向かいます。
仲間は結構な量の酒を飲んでいたようですが、基本的に自転車で来ている私は1〜2杯程度で帰りは自転車を押して帰ります。
なので時間的な余裕があまりないのです。徒歩ですと20分程度はかかることになりますのでとにかく自転車を押しながら半ば駆け足で深夜の地元道を歩いておりましたその時

「こんばんは〜ちょっといいですか??」

呼び止められました。警官二人に。
おいおいおいおいおいおいオイオイ勘弁してくれええええ。。。。
法律守って飲酒運転しないで押していたっていうのに呼び止められました。

「あーお酒飲んでらっしゃるんですね、自転車に乗っておられないのは素晴らしいですねえ」

爽やかな感じで話しかけてくる若い警官。歳は自分より2〜3個くらい下でしょうか。感じは爽やかですがいつも思うのですが、こういう時の彼らは基本的に目が笑っていません。

「はい、すいません日が変わる前に帰らないと嫁に叱られるんで急いでるんですけど」

隠しても逆効果なので恥ずかしい家庭の内情を正直に言います。

「あーそれはすいません、すぐに済みますので自転車の登録番号だけ確認させていただいてもよろしいですか?」

若い警官がすまなさそうに、その実ちっとも引くつもりはない感じで近づいてきます。
死ぬほどイライラしますが彼らも仕事なのであえて抵抗する方が面倒なことになりかねないので・・

「はい、早めに頼みますね」

というと自転車から離れます。
ぴっぴっ、と軽快な感じで機械で自転車の防犯登録のナンバーを確認していく警官。
その時にもう一人の年配の警官が口を開きました。

「いえね、実はこの辺りで物騒な通り魔事件が3件起こっていましてね。私どもも色々と警戒して夜にパトロールしているんですよ」

「通り魔?へえ、そりゃ確かに物騒ですねえ」

「そうなんですよ。しかも3件のうち2件が深夜の時間帯でそのうちの1件が小学生さんでね」

「ええ?でも深夜に小学生が出歩いてたんですか?それも問題だなあ」

「ええ。塾帰りとからしいんですけど・・私の時には考えられませんねえ」

そう言って苦笑いを浮かべる年配の警官。

「でも大人の方も被害にあっておられるわけですのでね。貴方も気をつけてください」

「あはは、大丈夫ですよー。怪しい人には近寄らないようにしますから」

「いやあ。意外と通り魔なんてのは見た目が優しそうだったり普通の格好している人が多いんですよ」

そう言ってなぜか年配の警官は僕をジッと見つめてきます。
お、おいおい何よ何よ。この善良な市民を疑ってる!?嘘だろ!?
・・・って焦るだけ無駄か。どう考えたって俺に犯罪性を感じさせるようなところなんて



IMG_7385.jpg
ありますたースタローン。

おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!
違う!違う!子供の靴とんでもなく不自然に入ってるけど!誘拐も通り魔もしてない!!身代金も要求しないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
でもやべえええええええええええええええええええええええこれ見られたら信じてもらえる自信ねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!

「えっと・・もういいですか・・?」

「ちょっと待ってくださいねーもう終わりますからねー」

とっくに終わっているはずだろうと思うくらい長い時間自転車の防犯登録番号を見ている若い警察官。なんだ・・ま、まさか疑われてるのか?!すでに?!

『ちょっとカバンを確認させてもらっていいですかねー』
『な、なんでですか?!子供の靴なんて入ってませんよ!!』
『はい23時38分身柄拘束ー』


いやすぎるううううううううううううううううううううう!!
動悸があまりに早すぎて口から消化されたフライドポテトが漏れ出そうになります。


「はい、じゃあいいですよー」

「え?身柄拘束ですか?」

「は?登録番号の確認終わりましたよ?今なんて・・?」

「なんでもありません!妻が包丁持って待ってますんで、じゃあ失礼します!」

「?はい、じゃあ夜道はお気をつけてくださいね、おやすみなさいー」

「おやすみなさい!」

自転車を努めて冷静に若い警官から受け取ると競歩顔負けのスピードで家に向かってその場から離れ始めます。

早く!早くここから遠くへ!

100mほど全力歩行して曲がり角に差し掛かりました。
ここを曲がればもう大丈夫!追ってはきまい!おりゃあ!

競歩のスピードのまま勢いよく角を曲がります。
スポーン!と何かが落ちましたような気がしましたが、そんなもん気にしてられるか!冤罪なんてごめんだ、それでも僕はやってない!

5分足らずで家にたどり着くとバタン!と勢いよくドアを閉めます。
汗が滝のように首筋や頬から流れ落ちます。
ハァハァと汗だくになりながら家の玄関にしゃがみ込んで「ふふ・・逃げおおせてやったぜ・・ざまあみろ公僕めが!!」と呟いている様はどこからどう見ても立派な通り魔





翌朝子供の片方の靴が紛失していることが発覚し、嫁にサマーソルトキック喰らいました。
皆さんもカバンの裏ポケットに子供靴を入れていないか是非、チェックしてみてくださいね。