花粉症をぶっ飛ばせ!その2 漢方編
2007年11月 9日 14:43花粉、アレルギーのお話
さて、前回は西洋学的に花粉症の説明をしてみましたが、今回はいよいよ本職の漢方から見た花粉症の分析です。
まず漢方の視点で花粉症をとらえると大きく分けて外感と内傷という二つの原因が考えられます。花粉症のようなアレルギー症状は慢性化するケースが多く、根治するためには原因を見極めて体内のバランスの崩れている部分を改善させる必要があります。
外感とは漢方でいうところの外邪(外部からの刺激と考えてください)が体の中に侵入することで起こる症状の事です。健常時では何ら問題を引き起こすことはありませんが、何らかの原因によって体内のバランスが崩れている時(あるいは外邪そのものがバランスを崩す原因となることもあります)に人体に悪影響を及ぼします。
次に内傷はさらに大きく2分割し、体内にトラブルを引き起こすもの(痰や熱など)が蓄積してしまった状態である実証と、 五臓(肝・心・脾・肺・腎)六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)の機能低下や 生命活動に必要なエネルギー(気・血・津液・精)が不足してしまっている虚証にわけることができます。
それぞれお薬を服用される方の体質や症状に応じて使い分けなければならない為、処方には漢方の知識が必要になります。
基本的にアレルギー症状である花粉症は一般的に実証ととらえることができます。
ではどんな治療をすればいいのか、ということですが、アレルギーの西洋薬を飲むだけでも症状を抑えることは可能でしょう。
しかしそれはあくまで「抑えている」だけであって根治させるわけではありませんのでお薬をやめた途端に症状は再発します。
ですから根本的な改善を望むのであれば自らの治癒力を高め、原因となっている体の中の病邪を取り除くことが第一になります。
それをふまえ、日常で一番簡単にできること、それは「食養生」です。
「おいおいこんだけ引っ張っといて食事かよ!」と怒鳴りちらそうかと思ったそこの貴方、カルシウム不足かと思われます。良質のカルシウムを摂取することをお勧めします。
皆さん、どうかこの言葉を胸に刻んでください。
「食を笑うものは食に泣く」
どうですか?いい言葉だとは思いませんか?
・・・ たった今私が作りました。
無論これにはきちんとした根拠があります。
漢方には「医食同源」という言葉があり、薬草や食べ物はそれぞれ薬としての性質を持つと考えます。 ですから例えば五臓六腑のうちの「脾」が弱まっている方は「脾」の働きを活発にする食材を、「肺」の弱い方には「肺」を強める食材をとるように心がけることにより、日常生活の中で体質を改善していくことが可能になり、それがすなわち症状の予防、改善に繋がっていきます。もちろんそれぞれの体質に合わせた食養生が必要になりますのでそこに関しては必ずご相談ください。
外感の症状に使う薬
花粉を外からの刺激(外邪)としてとらえ、これが体内に入ること(侵襲)により症状が起こると考えます。たとえば体が冷えたときに透明で水っぽい鼻水が出る、反対に暖めたときに鼻が詰まったり、色のついた鼻水が出る、もしくは天気が悪いときにネバネバし、白濁した鼻水が出る~などタイプを判別し、全身症状からそれらを取り除くための漢方薬を処方することができます。
内傷の症状に使う薬
前述しましたが内傷には実証と虚症の二つのタイプがあります。
実証:体の中に必要以上に生産され、何らかの原因により経絡の流れが滞り、それが体内に蓄積されることにより出てくる症状のことですが、漢方でいうところの気、血、水のトラブルは一般的にここでとらえることが多く、それぞれ気滞、痰濁、お血(けつ)などと呼ばれます。イメージとしては滞った流れを正常に戻し、溜まった毒素を発散させる漢方を服用すれば改善されます。アレルギー性の鼻炎である花粉症はどちらかというとこの実証のケースが多いです。
虚症:体のエネルギー(気血津液精)の不足、五臓六腑の虚弱を虚症といいます。
こういった場合は不足しているエネルギーを補う漢方薬を服用します。
よくご相談にこられる方で「ホームページ見ましたけどあたしは絶対に虚症ですから虚症の薬を出してください。さあ、早く、さあ!」と胸を張られる方がおられますが、ここに書いたものはあくまでも参考程度にしてください。症の正確な見極めには専門的な知識がやはり必要です。
「この薬は実証の薬だからあたしには効かないでしょ」というような先入観を持って薬を飲んでもせっかくのお薬の効果を落としてしまう可能性があります。
薬だけに頼るのではなく、食や生活のバランスを見直すというのも遠回りなようで実は近道だったりするケースが多いのです。さあ皆さん!まずは早寝早起きを心がけましょう!
・・・私も。