高血圧にならない体を!(西洋薬編)
2007年11月 9日 14:52血圧のお話
高血圧 その1(西洋薬編)
「高血圧」という言葉はほとんど誰でも知っている医療用語だと思いますが、
一言に「高血圧」と言ってもどのくらいが高血圧なの?とおっしゃる方ももちろんいらっしゃると思います。
西洋学的に捉えると高血圧とは一般に血圧が140/90mmHg以上の状態をさします。
高血圧の大部分は原因不明であり、これを本態性高血圧と呼び、ごく一部は何らかの原因があって高血圧になる二次性高血圧があります。
本態性高血圧は体質や遺伝的な要因が関与している可能性が考えられ、二次性高血圧の原因としては肥満や塩分の過量摂取、ストレスなどが考えられます。
「俺は本態性高血圧だから摂生しても関係ないでしょ!ガンガン好きなもの食べまーす!」という方は例外なく二次性高血圧の素因をも持っています。まずはその手に持ったポテトチップスを叩き落すところから始めましょう。
現在日本には病院への受診されていない方を含めると3000万人の高血圧患者がいると考えられており、これを読んでくださっているあなたにも私にとっても高血圧は最も身近な生活習慣病といえます。我関せず、とそ知らぬ顔をするのはやめましょう。
ただ怖いのはほとんどの高血圧患者さんには血圧上昇により特別な症状が出ることがない、という点です。
高血圧を無治療のまま放置すると脳卒中、腎不全、心筋梗塞、心不全などの重篤な障害が起こる危険性がありますので、遺伝的な素因のある方は定期的(3~6か月おき)の定期健診を受けたり、日常生活から食事に気を使ったり適度な運動を心がけたりストレスの発散方法を考えたりといった肥満防止を考慮に入れるなどの対策を練ることが大事ですし高血圧と診断され、病院からお薬を処方されている方は毎日の正しい服用が必須です。
で、治療としては東洋医学でも西洋医学でも「食事療法」、「運動療法」、「薬物療法」の3点が考えられます。(私はここにストレス療法というのも加味して指導していますが)
食事療法や運動療法も自己判断で適当にやるのではなく専門知識のある人間とカウンセリングしつつ行うのが大前提です。「てっとり早く痩せなきゃいけないからもう5日も断食してます」という方は間違いなく高血圧以外のところで命を縮めています。ダイエット法を考え直しましょう。
運動も自分の限界以上の運動を短期間で続けたりする方が多いのですが「来週までに巨人の星になりたい」という方でなければ適度な運動を長期にわたって続けるのがよほど効果的です。何事も過剰にすればストレスになります。治療をしているはずなのに逆効果になりますので注意が必要です。
食事、運動は「高血圧:漢方編」で詳しく触れるので、今回はこの中の「薬物療法」の説明をしたいと思います。
病院から処方される高血圧のお薬を種別で分類すると以下のようなものがあります。
① 降圧利尿剤
利尿作用により血圧を下げる薬。副作用は尿糖、高尿酸血症、高脂血症などがある。
② β遮断薬
心臓や血管に分布する交感神経のβ受容体の働きを抑制して血圧を下げる薬。
副作用は喘息発作を誘発したり脈が遅くなるなどがある。
③ α遮断薬
交感神経のα受容体の働きを抑制して血圧を下げる薬。
副作用はめまい、たちくらみなどがある。
④ ACE阻害薬
体内の昇圧ホルモンであるアンジオテンシンⅡを作り出すアンジオテンシン変換酵素の働きを抑制することにより血圧を下げる薬。
副作用は咳や味覚低下などがあり、妊婦の方には禁忌のお薬です。
⑤ カルシウム拮抗薬
カルシウムが血管平滑筋細胞に入るのを抑制して、血管が拡張することにより血圧を下げる薬。副作用は動悸や顔のほてりなどがあります。
⑥アンジオテンシンⅡ拮抗薬は、アンジオテンシンⅡ受容体の働きを抑制して血圧を下げる薬。副作用は口角炎、吐き気などがあり、この薬も妊婦の方には禁忌薬です。
このように西洋医学では「高血圧」という数値そのものを改善させることを主眼に置き、
治療を行います。
薬のタイプも多種に分かれており、副作用も考慮に入れなくてはいけませんので自分にあったタイプの薬を医師や薬剤師と相談して見つけることが大事です。
運動療法や食事療法で高血圧の素因を取り除いた上で薬物療法により上手に血圧をコントロールするのが一番効率的かつ安全な西洋薬の服用法ですね。