肥満なんて怖くない!
2007年11月 9日 14:49肥満、ダイエットのお話
私自身中学3年間はいわゆる「肥満児」に近い体型をしていたという事実があるため、
肥満というのは決して人事ではありません。
幸運なことに私の場合は高校時代にダイエットに成功し、大学の卒業記念パーティーではチャイナドレスに女装して司会を務める、という大役を務めることができました。(悪夢です)
一言に「肥満」と言ってもその原因は色々で、その原因を突き止め、対処しないことにはなかなかダイエットの成功は難しいのです。
しかし肥満は放っておけば高血圧、糖尿病、動脈硬化などなどさまざまな恐ろしい生活習慣病の原因になりますので早めの対処は絶対に必要になります。
私がいつも指導するときに患者さんに言うダイエットの三原則は「低カロリー」、「高栄養素」、「適度な運動」です。
これが一つでも欠けると理想的な体系を維持することは難しいと思います。
近年日本人食の欧米化が異常な速度で進んだため、我々は日々あたりまえのように欧米食を食べていますが、もともと日本人に適する食事というのはやはり日本食なのです。
何百年もの間、肉よりも魚や野菜を中心の食生活を送っていた日本人がいきなり高カロリー高たんぱくの食生活に順応するにはやはりまだ何十年か必要なのではないでしょうか。
さらに「飽食の日本」などというありがた迷惑な名前がつくほど欲しいものを欲しいときに好きなだけ食べられるようになってしまった現代の日本。
年々日本人の肥満者数が増加しているのにはそういう背景がまずあると思われます。
続いて考えられる原因としては「ストレス社会」といわれる現代社会、ストレスが引き金となって暴飲暴食につながるケースや、体内の免疫バランスを低下させたりするケースを無視することはできません。
この場合はストレスを緩和させるための方法を考えることが一番の対策になります。
ダイエットするにあたってまず知っておいていただきたいのですが、体脂肪1キロあたりの熱量はなんと7000キロカロリーもあるのです。目安として成人女性の一日の摂取カロリーの平均が約1800~2000キロカロリーであるといえばわかりやすいでしょうか。
つまり1キロしっかりダイエットをしようと思った場合、この7000キロカロリーを消費しなければならないのです。
一日絶食したり少し激しい運動をした時に1~2キロ体重計の値が変わったといってもそれはあくまでもみせかけの数値にしかすぎません。胃中の内容物がなくなっただけで脂肪自体はほとんど減っていないのです。
そればかりか絶食ダイエットや過度の運動により栄養素やミネラルは体から抜けてしまうため、痩せたと勘違いして次回の食事で今までの食事に戻してしまったりすると体が不足した栄養をつかまえようとするためにむしろ多くの脂肪を蓄えてしまうことになるのです。これがいわゆる「リバウンド」です。
これはどのような方法でダイエットを考えたとしても頭においておかなければいけません。
1キロ痩せる事も太ることもこの「7000キロカロリー」の壁を越える必要があるのですからどちらも一日にしてならず、ということですよね。日々の生活の繰り返しが少しずつ脂肪として貯蓄されていくのが「肥満のサイクル」なのです。
漢方を使って肥満を解決させようとしたときにタイプを分類するとこういう感じになります。
① 水太りタイプ
食事の量はあまり多くないが口渇があるため飲酒を含め水分の摂取が多く、お酒を飲んだ翌日などは胃の中に水がたまったような感覚があり、体がひどくむくむ。
→体の水分代謝が悪いために水分をうまく体外に排出できずにいるのが原因です。
いわゆる「水毒」のタイプです。この場合は水はけをよくする漢方を服用します。
② 食べないのに太るタイプ
食事の量は少ないが、痩せずになぜか太ってしまう。
偏食で、体の冷えが強く全身に倦怠感があることが多いです。
→体の代謝や内臓の働きが悪い状態。
いわゆる「脾虚」や「気虚」と呼ばれるのがこのタイプです。
不足している「気」を補うような薬や臓器の活動を正常化させる漢方がオススメできます。
③ とにかく食べ過ぎてしまうタイプ
ストレスが原因にあることも多いですが、食事の量がとにかく多いという人。
便秘なども併発しているのであればさらに肥満症状は悪化しやすいといえます。
体に余分な熱を蓄えているような方が多くみられます。
→便秘があれば便通を改善させ、ストレスがあればストレスを緩和させる効果のある漢方をあわせて胃内の消化を助ける漢方を服用します。
などなど。
肥満のタイプというのは他の疾患と比べて分類がしやすいものではあるのですが今あげたタイプ複数にまたがっている方も多くいらっしゃるため、やはり食事や運動の指導も欠かすことはできません。
すなわち漢方やサプリメントだけで好きなだけ食べていても痩せられる、というものではありませんしそれだけで痩せた場合はむしろ危険です。
さらに上記のとおり体脂肪は1キロあたり7000キロカロリーの熱量を持っていますので短期間での絶食等の急激なダイエットは臓器や骨にも悪い影響を与えますし皮がたるんだり皮膚が荒れたり・・と美しく痩せることができません。
あと注意したいのは皆さん体重だけに眼を奪われがちですが、体脂肪率の測定も忘れてはいけません。脂肪より筋肉の方が重いのです。
つまりトレーニングや運動によって脂肪を筋肉に変えた場合、体脂肪率は下がって体重は増える、という事も当然ありますが見た目としては引き締まった体になっているのです。
毎晩体重を量る、という方は体脂肪率も一緒に量る習慣をつけましょう。
特に最近若い方の無理なダイエットにより若い女性でも骨密度が70代、80代のそれに近いという恐ろしい話もあります。
ダイエットしたいという方はその瞬間だけ痩せればいい、という考えは捨て、10年20年と経った時にダイエットして本当によかった、と思えるように正しい方法で美しくなりましょう。
チャイナドレスはもうこりごりですけどね。