その痛み、抑えているだけではダメです!
2008年11月 7日 10:56「痛み」のお話
毎年冬が近づいてくると関節痛や神経痛にお悩みのご相談が増えてきます。または気圧の変化(梅雨など)でも痛みが増す、という方も多くおられるようです。痛む部位は様々ですがやはり多いのは膝、腰、関節ですね。
漢方では「通ざれば すなわち痛む」という言葉があります。
これは様々な要因により体を流れる正しい流れが滞ることにより痛みは起こるという考え方です。こういった痛みに対してただ痛み止めや電気治療などの対症療法だけを行うというのは本質的な機能改善には残念ながらなりません。大切なのは痛む部位の機能を改善させ、抵抗力をつけて痛みを改善される治療だと私は考えています。
それを目的として様々な漢方やお薬を組み合わせてご用意させていただいておりますが、その中でもベースとして私が頻用するのは「独活寄生湯(どっかつきせいとう)」という漢方薬です。
当店では「独歩丸(どっぽがん)」という名前で店頭に並んでおりますが、なぜこのお薬をよく使うのかといいますと、鎮痛と、筋骨を強める二つの作用を持っているのが最大の特徴です。独活寄生湯には「独活(どっかつ)」(ウドの根茎)「桑寄生(そうきせい)」(ヤドリギ)などの生薬が含まれていますが、これが主な鎮痛効果と痛みに対する抵抗力を体につけてくれるのです。主な鎮痛のメカニズムとしては血行を促進し、水分代謝をよくする働きが効果を出します。痛む部位の周りの血流がよくなり、栄養分が行き渡りやすくなることにより痛み自体がひいてくるわけですね。
そして、もうひとつは筋骨を強める作用、これが他の薬にないポイントです。ここでは「牛膝(ごしつ)」「杜仲(とちゅう)」などが効果を発揮します。筋骨とは、文字どおり筋肉や骨のことです。痛む部位、特に膝などの場合は周囲の筋肉や、すり減った軟骨などを補修することで、膝の痛みを根本的に治療していくのです。独活寄生湯は、慢性のリウマチや、慢性的な神経痛などにも効果的に使うことができます。
上記の漢方はどちらかといえば慢性化した痛みに効果が高いお薬ですが、打撲や捻挫などによる急性の膝の痛みに効果がある漢方薬ももちろん存在します。運動中の怪我などには「疏経活血湯(そけいかっけつとう)」や田七人参などを組み合わせて使っていくと回復のスピードが全く違います。
こういった薬も血流改善作用が強く、筋肉に血流を集めることで本来の回復能力を高めていくことができるのです。
外科的な治療に漢方薬が効果があるの?とおっしゃる方がいらっしゃいますが、本質的な改善こそ漢方の得意分野です。慢性の痛みにお悩みの方はもちろん捻挫や打撲など跡が残ってしまいそうな症状にも漢方を用いてみてください。きっと驚かれると思いますよ!
買ったばかりのPASMO(パスモ)を紛失した私の心の痛みまではさすがに取れませんが。