なぜかと言えば「自分の口に運ぶものを自分で吟味したいから」です。

毎日健康相談の場に立って感じる事について前回食の安全性、それについてのあまりにも低くなってしまった日本人の意識について書かせていただき、これに多くのコメントをいただきました。今日はちょっとそれの続きを。

前回は「安全な食材」を手に入れる事が現代ではとてつもなく困難になって来ている、と言うお話でしたがこの大きな一因として家庭で料理をしなくなってきている、と言う事があると考えています。

そんなことない、私はきちんと料理しているわ！とおっしゃる方ももちろん多くおられると思いますが、加工食品や冷凍食品を多用していたりレンジでチン、という調理は残念ながら「料理」ではありません。

日本では特に高度経済成長期を境にして女性の社会進出や共働きが半ば当たり前のようになり、家事をする人間がいないことが当然のようになって来ています。女性の社会進出に異議を唱えたりする気持ちは毛頭ありません。そんなもの男性も参加してきちんと二人でこなせばいいだけの話ですから。しかし残念ながら料理をする、などということは考えもしないという男性は依然として大多数だと思います。（前述した「調理」程度ならしている方は多いかもしれませんが）

こうした社会構造によりどうしても短時間で手間のかからない加工食品やファーストフードが激増してしまいましたが料理をほとんどしなくても問題なく「食べる」ことはできるようになってしまったことが加工食品やファーストフードなどに含まれている膨大な量の添加物などに対しての抵抗や疑問から目をそらさせる事になってしまいました。もちろん加工食品と言えど添加物を使用していないような優良なものもありますが、スーパーで売られている大半のものについてそうした良心を期待する事はまずできません、というよりそれを望んだのは私たち国民であるということを忘れてはいけないと思います。

加工食品に大量に含まれている化学物質（食品添加物）の何が悪いのか？と聞かれますと個々についていちいち「ここが悪い」とか「こういう害毒がある」ということを話しだしてもキリがありません。現代日本では８００品目を超える食品添加物が認可されているからです。最も問題なのは化学物質はあくまでも人体には異物であり、摂る事で生活習慣病の原因となる活性酸素の発生〜抗酸化物質の浪費という流れを生み出してしまう事です。それは「何を食べたから○○という病気になった」と特定できるようなものではなく、長い年月をかけて体の中に蓄積される事で発病するものである性質上「誰にも責任が特定できない」というタチの悪いものになっているわけです。

家族の生活を支える為の女性の社会進出、共働きという生活スタイルが結果として人間が行きて行く為に最も必要な「食」をおろそかにすることになり、その結果、重篤な生活習慣病を引き起こす事になる・・考えてみれば何と皮肉な話でしょう。

先日のコラムを繰り返す事になるかもしれませんが、現代日本人は食に対しての重要性の認識、そして危機感があまりにも薄すぎると思います。いくら漢方薬や自然薬で身体の根源を整え、強化してもこうした食をおろそかにする方の体調を１００％の状態にする事は出来ません。最近では私は全てのお客様にこれをはっきりとお話しさせていただいております。

知識を持ち、食への意識を持ち、そして「本当の食事」に感謝する。

形が揃っていない、値段が高い、西日本産と明記されているから大丈夫・・・皆さん色々な事をおっしゃいます。

もちろん知識を持った上でどのような選択をされるかというのはもはやその方々自身の問題であり、私がとやかく口を出す立場にはありません。ですがその知識を持たずに「なんだかわけのわからないもの」を日々口に運ぶ、特に可愛いお子様に同じ事をしているというのは一人の子をもつ親として堪え難い気持ちでいつもおります。

産地偽装や嘘の誇大広告を何の悪びれもなしに業界で公然と行っている業者が横行している事実はもはや知っている人間なら誰でも知っている事です。

自分の目で見て、自分の頭で考えて食品を吟味する。

自分や家族の身は自分で守らなくてはいけない。今の時代は残念ながらそんな時代なのです。

しかし、その中にあっても優良で心のこもった作物を作り続けている方々は少数とはいえきちんといらっしゃる事もまた事実。大切なのはそうした心ある方とのネットワークを築いて行くこと。そこからまたさらに広がる本当の意味での健康と食の関わり。

そうした世界を一人でも多くの方に知っていただける為に私は今後も健康相談を通し、素晴らしい漢方薬と自然薬と共に「ただ漢方を売る」だけでない真の健康相談処になれるよう精進して参りたいと思っております。