耳鳴りの御相談と漢方
2019年3月12日 10:02耳のお話
1年を通てしいただくことの多い症状です。耳鳴りとは耳の中で、ご自身だけが聞こえる共鳴音で「キーン」「ジー」といったような音と表現されることが多いのですが耳鳴りの音や種類、強度は人によってそれぞれ異なります。これは原因が異なる、というのが最も大きい要因でしょう。高い音、太い音、低い音、または変化する音色の場合など非常に多岐にわたります。
耳鳴りの原因としては1.大音響の音楽、工事などの騒音などの「音によるもの」2.「加齢によるもの」3.ストレス、イライラ、過度の精神刺激による「神経学的障害によるもの」4.中耳など聴力器官の物理的な障害などがありますが、耳鳴を大きく2つに分けるなら、慢性の弱い耳鳴と急性の強い耳鳴、ということになりますが、慢性の耳鳴は、主には加齢によるものが多いです。「加齢により脳が転がり耳鳴がする」と中国の古典に書かれています。
これはいわゆる「腎虚」と呼ばれる状態です。腎虚というのは加齢による老化状態というのがイメージとしてはしっくりきますが、腎虚によりあらわれる他の症状としては、下半身のだるさ、腰痛、不眠、ほてり、脱毛、頻尿、難聴といったところでしょうか。まさに老化現象、ですね。腎は耳と繋がっている、という考え方があり、加齢により腎が弱ると耳のコントロールに支障が起こる、ということになります。
その他にも「ストレス」。ストレスは体の気の流れを停滞させ、時に熱と化して炎症を体に生み、「肝胆の経絡」という体内のネットワークを阻害して目や耳を傷めるとされており、この結果が耳鳴や難聴になります。様々にある原因別に対応する漢方や養生を行うことで改善を行うことは可能ですが、慢性化したものは難治性のものが多くなりますのでできるだけ早めの御相談をお願いできれば、と思います。