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インフルエンザ、麻黄湯でいいの?

2009年10月 9日 09:28カゼ、インフルエンザのお話

最近よく「麻黄湯」をください、というお客様がいらっしゃいます。

「どうなさいましたか?」とお聞きすると大体「『インフルエンザに効く』と聞いて・・」とお答えが帰ってきます。

正直いつもちょっとだけ困ってしまう瞬間です。

テレビや雑誌を見ますと大抵この記事が載っておりますが残念ながら半分だけ正解です。

どういうことかといいますと、まずは風邪やインフルエンザを発症してしまう時のメカニズムを漢方の視点から見てみるとわかりやすいと思いますので簡単にご説明します。

そもそも風邪やインフルエンザを発症する大きな原因になるのは「冷え」と「疲れ」です。

冷えることによりその冷えが「武器」となって私たちの体を攻撃すると考えてください。武器の先には「病気」という毒が塗ってあると想像していただくとなお分かり易いかもしれません。

そして「疲れ」によって私達が元々持っている防御能力が弱まり、「冷え」という武器の攻撃に屈してしまうと武器の先に塗ってあった「カゼ」や「インフルエンザ」という毒に犯され=これらの病気を発症してしまう、と言うことになります。

ですからこの2つの大きな原因から体を守ることがカゼやインフルエンザにかからない=予防するための方法と考えていただけばいいと思います。

ところが市販されていたり病院からいただくいわゆる「総合感冒薬」というのは体を温めるわけでもないし疲れを取りさらうものでもないわけですから病気そのものを治す力は持っていないことになります。(説明書を見ても「症状の緩和」としか書いていないと思います)

ですから予防したり治したりするのには体を温めたり疲れを取りさらったりするのにうってつけの漢方薬がお勧め、というわけです。

多くの方が勘違いされておられるのは「感染」=「発症」ではありません。
日常的に我々はとんでもない数のウイルスに感染しているのです。ですがそれは「発症」しなければ何の害もないものです。

カゼやインフルエンザにいくら感染してもそれに体が負けなければ「発症」せずにウイルスは体の持つ力によって退治されていきます。ですから本当に大事なのは「感染」しないこと、ではなく「発症しないこと」のほうだと私は考えております。(そもそもこのグローバル社会で感染を100%防ぐなんてことは不可能ですから)

これらをふまえた上ででは麻黄湯はどんな薬か?と考えてみますと、麻黄湯は「麻黄(マオウ)」、「桂皮(ケイヒ)」、「甘草(カンゾウ)」、「杏仁(キョウニン)」という4つの生薬から構成されている漢方薬です。

それぞれの働きとしては
①麻黄+桂皮で散寒平喘(冷えを取り除き呼吸を楽にする)と辛温解表(体を温め皮膚から汗をかかせる)
②杏仁は清肺熱(肺にこもった熱を取る)と平喘止咳(咳を止める)
③甘草でこれらの漢方薬を調和させる。

というようになっています。

つまり寒気がひどく、かつ体に熱がこもり(汗が出ないから熱がこもる)、咳がひどく出る・・というタイプのインフルエンザには確かに効果があると思います。

ですがインフルエンザもその症状は様々です。全てがこのパターンに当てはまるものではありません。
例えば大量の汗が出ていたら?寒気がなかったら?衰弱がひどくだるさが強かったら?

これらの症状の場合麻黄湯は効果は薄く、悪いときには症状を悪化させることすらあります。

また、「ずっと飲んでいれば予防もできる」と言われたんだけど・・とおっしゃるお客様もおられますが残念ながら漢方薬の構成を考えればそれはありません。先ほども言いましたとおりあくまで予防=発症させないことを考えれば体を温め、体内エネルギーを常に補うことが必要です。麻黄湯はそういうお薬ではないと考えております。

漢方薬を選ぶ時には「患者は見るが病名は見ない」という考えが何より大事だと思っています。○○という病気だから××湯という漢方薬 という選び方をしては上手に病気を治すことは難しいものです。

病名ではなく症状に応じたオーダーメイドでお薬を準備できるのが漢方薬の最大の長所であり、また面白いところです。

ご相談いただければ画期的な予防方法と改善するための漢方薬をお選びいたします!

ですからできましたら「インフルエンザは麻黄湯!」という概念を頭から取り除いてご来局下さい^^

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