梅雨の時期に体調が悪くなるのはなぜ?
2010年5月26日 14:17梅雨の不調のお話
5月も末になってきますと漢方の散剤を分包している時に分包機にこびりつくことが多くなってきます。
これの原因は無論「湿気」。
大気中に増加する湿気が吸湿性の高い散剤にこびりつき、ベタベタとしたなんとも不愉快な状況を作り出してしまいます。
これは人間の体にも同じことが言えるわけでして、もともと多湿の国である日本ですが、梅雨の時期が近付くとなんとも言いようの無い不調に悩まされる方が一気に増えます。
つまり「湿(しつ)」が体の中に過剰になることにより、散剤のようにベタベタの状態を引き起こしてしまうわけです。
一番影響を受ける臓器は消化器官(胃腸から腸全般)です。
だるさ、胃もたれ、食欲不振、吐き気、粘性の高い下痢などなど、耳にするだけでジメジメするような症状ばかりですね。
漢方の考え方では「湿」によって体の中に余剰に溜まった「水」はある程度の時間からだの中に停滞することによってより毒性の高い「痰」へと姿を変えるとされています。
痰 といってもカーッ ペッ!という痰だけでなく、漢方の定義では前述のとおり、体にとって害となるものとしてとらえられています。
ここまで状況が進行してくるとかなり厄介です。
では具体的にどのような方法でこれらの疾患を改善していくのか?基本的には体内に過剰になっている「湿」を取り除く漢方薬を中心にすえて用いていくわけですが、こういった水分の停滞を正常にしていく漢方薬をカテゴリで分類すると「利水薬」と呼ぶことが出来ます。
体内の水回りを改善することで前述したようなジメジメベタベタ疾患を爽やかに改善することが可能ですが、大切なのは現在の体の状況がどの程度まで進行しているかということを見極めたうえで薬を選ぶことが必要です。
消化器系が痛みますと発熱したり、吹き出物が増えたりするなど、消化吸収以外の部分でも様々なトラブルを発生することがあります。
特に梅雨から夏にかけての感冒症状(風邪)はこれら「湿」のせいであることが多いものです。こういった症状には市販の風邪薬などで逆に腸を荒らして症状を悪化させることも多くありますので注意が必要です。
胃腸系が弱っているところに栄養をどんどん詰め込むのはもちろんNG。養生法も意外に間違いが多く、余計に悪化させる原因にもなりがちです。
いつもお話しておりますが、漢方薬を用いる時に大切なのは季節や環境に応じた適正な薬を選ぶこと。正しい漢方薬を用いた時の切れ味はどんなお薬にも勝ります。
これからの時期、毎年体調を崩される方はもちろん、原因不明の不調が現れてお悩みの皆様もどうぞご相談下さい。お力になれると思います。