糖尿病を東洋医学の観点から紐解こう
2011年11月 7日 16:59糖尿病のお話
処方箋の調剤もお受けしている当薬局において、私がいつも気になる患者さんの病名ナンバー1はズバリ「糖尿病」です。
インスリン治療や内服薬など西洋学の治療ではある程度決まったやり方というものがありますが、漢方の場合は糖尿(漢方では「しょうかち病」と呼びます)の原因というものを実に細かく分類し、その原因を治癒させる方向性をもって改善を行なっていきます。
これらをわかりやすく、大きく分類しますと①食生活の不摂生による発症、②精神的刺激による発症、③老化、性欲過度と陰虚体質による発症の3つに分けることができます。
①は日常的に油分の多い食事や濃厚なものを過食している人に多く、胃の中に余剰な熱(胃熱)が発生し、これが体の中の陰液(余剰な熱を覚ます体液のようなもの)を消耗させることにより糖尿を発症させるもの、続いて②は長期間にわたって気分がふさいだり強い精神刺激を受けたりすると気鬱や気滞(精神的な抑うつ状態)に陥ることにより、全身の津液(体をめぐる体液の全て)を消耗することでこれが糖尿の原因になる。最後の③は老化や過度の性交などにより臓器を潤すいわば冷却水が大きく消耗し、結果として糖尿病の発症につながる。これらの原因を総括して考えますと、糖尿病の発症する原因として漢方が捉えているのは様々なマイナスの要因により、体を潤したり冷却する「体液」が大きく消耗し、その結果として糖尿病の様々な原因が発症するようになっていることがわかります。
また、血液の汚れなども発症の原因や、糖尿病を悪化させる原因になります(むしろ血液の汚れはメインの原因になることもしばしばあります)。と、いうことでこれらに対してどのような漢方薬や自然薬を用いていくか、ということになりますと、それぞれの原因を根治させていくものが必要になります。症状というものはまさに十人十色ですのでご用意する漢方薬の処方は人により全く異なりますが、例えば食事の際の余分な油分や糖分の排出を助ける「しょうかち茶」や、体液を増やし、血液の粘りを取る「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」、血液の詰まりをとっていく「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などは糖尿病の根本原因に対して広く作用していくので非常に便利なアイテムです。
西洋薬で血糖値のコントロールをすることはもちろん大事なことではありますが、根本原因を取り除い
ていくということは漢方薬の特権と言えると思います。
糖尿病は症状が出づらい病気ですが、それゆえに気がついた時にはかなり症状が進行し、網膜、腎臓などに重篤な合併症を引き起こしたり、最悪の場合、壊疽などにより足を切断するようなケースもあります。
日本は「糖尿病大国」です。自分は大丈夫、と思うことなく、日頃からの健康管理に努めましょう!正しい漢方の使用は予防、改善に大変効果的です。