成長ホルモン剤と食肉牛・乳牛
2012年9月27日 10:17「食の安全」のおはなし
皆さん、ご自身の食べておられるものに関心を払っておられますか?
今日は「肉とホルモン剤のお話」をちょっとしようと思います。
一般的に有名な話としてアメリカなどから輸入される果物にはポストハーベストと呼ばれる防カビ剤が大量に使われており、これには強い発がん性があることが知られています。特に皮を煮詰めるマーマレードなどは非常に有害とされ、アメリカ国内では使用が禁止されているにも関わらず日本にはバンバン使用されて入ってきます。
今回取り上げようと思うのは乳牛や食用牛に用いられている「成長ホルモン剤」についてです。
世界で用いられている成長ホルモン剤にはいくつもの種類がありますがその中でも遺伝子組み換えによって作られた通称rBGHホルモンと呼ばれるホルモン剤は牛乳の生産量を著しく増加させる(通常の10%~40%)ホルモンとしてアメリカでは1993年に承認されて以降、あっと言う間にアメリカの多くの乳牛に投与されることになりました。そのようにして量産された乳製品は、今、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど様々な形をとって私達の口から入って来ていることになります。
当然の流れとして乳牛以外の食用牛にもアメリカではこのホルモン剤の投与が開始されています。アメリカでは成長を促す3種類の天然ホルモン、3種類の合成ホルモン、合計6種類のホルモン使用が許可されており、ほとんどの牛に投与されています。(オーストラリアでは5種類、カナダでは3種類、日本では4種類が認可されており、EUでは一切認められていません。)
基本的にアメリカでは健康に極度に気を遣う「オーガニック志向層」と全く気にせずにジャンクフードにまみれる層にほぼまっぷたつに分かれる傾向にあり、安全性など全く考慮せずに生産性だけを追い求める業者も横行しているのが現実です。実際にイタリアやプエルトリコ、フランスではホルモンの残留する牛肉を食べた幼児に乳房が大きくなったり、体毛が生えたり、初潮の始まりが報告されています。無論アメリカでも同様の報告が出ています。
ただ、アメリカの国策として、可能性はあれどもすぐに禁止ということにはならず、ホルモン剤の使用を完全に禁止しているEUとは「ホルモン戦争」と言えるほどの争いが民間、国レベルでも起きています。輸入、輸出に大きく絡む問題ですから当然といえば当然ですね。
EUでは、先にも述べたようにホルモンに関しては非常に慎重な姿勢を取っており、天然型ホルモンも合成型ホルモンも禁止しています。日本では以前は、天然型ホルモンは自然界に存在するので問題がないとして認められ、合成型ホルモンは禁止されていましたが、1995年の食品衛生調査会の答申で、「低用量であれば問題なし」ということで残留基準地をクリアしていればOKということで認可され、そういったアメリカ産牛肉が輸入されていることになります。
私が感じるのは基本的に日本は「アメリカに右にならえ」の国です。
アメリカの制作には強く逆らうことができず、また国レベルの健康意識に関してもアメリカよりはマシですが、抗生剤をはじめとする化学物質漬けにすることに対しての危機感のなさは皆保険のある分、簡単に処方ができる錯覚があるためにアメリカ以上だと思います。
国民の健康意識はそれなりにあっても正しい知識を与えてくれる媒体は少なく、結果として危険なものを平気で自分はもちろん愛する子供にも食べさせているのが現状です。
こうした薬品を知らず知らずのうちに摂取していることなどはもちろんですが、過度な健康意識(1日水2リットルなど)もそれはそれで害になることもあると考えていますので、何よりも正しい知識が必要です。
我々の生活からもはやこうした成分を完全にカットすることはほぼ不可能となってしまいましたが、それならば「解毒」していくことを今まで以上に積極的に考えていかなくてはいけませんし、それを可能にする手段はきちんと存在します。
健康相談薬局という立場から、私は常にこうした安全に対する正しい知識を啓蒙していければと思います。